留学の醍醐味の一つは、違う文化や考え方を持つ人と、実際に一緒に過ごせることです。宗教や習慣、話し方、生い立ちの違いは、教科書や講義で学ぶだけでは実感しにくいものです。
この記事では、大学生のときにニュージーランドの首都ウェリントンにあるビクトリア大学附属の語学学校に約4か月留学した美沙季さんが、クラスメイトや先生との間で経験した4つのエピソードを紹介します。
この記事の要点
- 大学附属の語学学校には、アジア・中東・ヨーロッパ・南米など、さまざまな国の学生が集まります
- 週末のバーベキューで、イスラム教徒の友人の礼拝を見守ったことが、違う信仰を尊重するきっかけに
- クラスには、夢のために厳しい事情を抱えて学ぶ仲間もいました
- 授業のディスカッションはけんかに見えるほど白熱。でも終われば笑顔で「もっと話そう」
- 担任の先生が、クラス全員を自宅のホームパーティーに招いてくれました
多国籍のクラスで学んだ語学学校
美沙季さんが通ったビクトリア大学附属の語学学校では、最初のテストでレベル別に10ほどのクラスに分かれます。美沙季さんのクラスは、フランス、ヨルダン、イラン、中国、日本、ミャンマー、ベトナム、コロンビアなど、学校の中でも特に国際色の豊かなクラスでした。
クラスの外の交流もさかんで、毎週水曜日には留学生全員が集まる講義があり、2週間に1度は2つのクラスが合同でテーマに沿った発表をし合います。休日には、ウェリントンのボタニックガーデンで全員でピクニックをすることもありました。

日本人どうしでも英語で
同じクラスには日本出身の友人もいましたが、教室ではお互いに「留学生どうし」。日本語が通じても、ふだんから英語で話していたそうです。
エピソード1 友人の礼拝を見守った週末
美沙季さんがいつも同じ机で過ごしていたのは、ヨルダン出身の男性、中国出身の男性、日本の関西出身の女性の3人。国も文化も性格も違う4人で、毎日の授業が楽しみだったそうです。
ある土曜日、4人で海辺へバーベキューに出かけました。夕方、片付けを始めたころ、ヨルダン出身の友人が「あと数分でお祈りの時間なんだ。片付けの途中で悪いけど、お祈りをさせてもらえる?」と言って、ある方角に向かって座りました。イスラム教徒の彼は、決まった時間にメッカの方角に向かって祈ります。モスクのない場所でも、方角を調べられるアプリがあるそうです。
みんなで「もちろん!」と言って、お祈りを見守りました。間近でお祈りを見るのは人生で初めてでした。信仰について、すぐに理解できたわけではありません。でも、違う背景や考えを持つ人をまず受け入れて、尊重する姿勢は見せられる。知らなかった宗教や文化について学ぶことは、今も続けています。
ウェリントンに留学した美沙季さん
エピソード2 夢のために学ぶ仲間の事情
クラスには、それぞれの事情を抱えてニュージーランドを選んだ人たちがいました。仕事を続けながら毎晩遅くまで課題をこなし、最終試験で首席になった人。ワイン作りの勉強から夢を変えて、大学院を目指して語学学校から学び直す人。家族と離れて博士号を取りに来た人。誰もが目標に向かって努力していました。
中でも美沙季さんの心に残っているのは、大学院で経済学を学び、いずれ大学で教えることを目指していたクラスメイトです。いつも明るく、誰とでも分け隔てなく接する人でしたが、実は最終試験に合格できなければ帰国して兵役に就かなければならないという事情を抱えていました。試験が近づいたある日、いつもと様子の違う彼を見て、後からその事情を知ったそうです。
幸い彼は最終試験に合格し、大学院へ進学しました。日本でも、世界の紛争や経済、宗教の問題は学べます。それでも、その問題に向き合っている仲間と一緒に学んだことで、どこか遠くの話ではなく、自分のことのように考えるようになったといいます。
エピソード3 けんかに見えるほどのディスカッション
語学学校の授業では、4技能をバランスよく学びながら、発表やディスカッション、グループでの調べ学習がたくさんあります。相手に分かりやすく論理的に伝える力が求められ、最初の1か月は毎回とても大変だったそうです。
ある日のテーマは、ニュージーランドで当時検討されていたシュガー・タックス(砂糖を多く含む飲み物やお菓子にかける税金)を導入するかどうか。ある友人は「国民の健康を第一に考えて導入すべき」と自分の国の状況も交えて主張し、別の友人は「健康の問題の原因が砂糖だけとは言えない。根拠を示してから、対象も考えるべき」と反論。議論はどんどん白熱し、周りからは大声でけんかをしているように見えるほどでした。
二人の関係が壊れないか心配で、授業が終わって一人がもう一人に近づいたときは「けんかが始まるかも」と思いました。ところが、満面の笑みで「いい話し合いだったよ。どうしてあの意見なのか、もう少し聞かせて」。あっけにとられました。意見をぶつけ合うことと、相手との関係は別なんだと知りました。
美沙季さん
根拠を集めて、分かりやすくまとめ、論理的に話す。そんな友人たちの姿勢は、帰国後の大学院での研究にも大きな影響を与えてくれたそうです。
エピソード4 先生の家でホームパーティー
ニュージーランドの先生は、学校の外でも生徒との距離が近いのが印象的でした。週末の前になると予定を聞かれ、クラス全員が先生の家のホームパーティーに招かれたことが2回あったそうです。
先生とは、子どものころの話や仕事、将来の夢まで、リラックスして話せました。帰国後に教育の研究を続け、教師として働き始めた美沙季さんにとって、このときの先生と生徒の関係は今も理想の教師像を考えるヒントになっているそうです。
留学で出会う異文化から得られるもの
美沙季さんは、一人でも多くの人を知り、尊重し、共感する心を育てられることが留学の醍醐味だと話します。日本では触れる機会の少ない宗教や文化、歴史、人それぞれの思いや事情に出会うことは、その後の価値観に大きく影響します。留学から帰ってきた人が生き生きとして見えるのは、そんな経験を重ねてきたからなのかもしれません。
留学の異文化体験 よくある質問
大学附属の語学学校には、どんな国の学生がいますか?
アジア・中東・ヨーロッパ・南米など、さまざまです。この記事の先輩のクラスには、フランス、ヨルダン、イラン、中国、日本、ミャンマー、ベトナム、コロンビアの学生がいました。大学院への進学を目指す人や、社会人として学び直す人もいます。
違う宗教の友人と過ごすとき、気をつけることは?
まずは相手を受け入れ、尊重する姿勢を見せることです。先輩は、イスラム教徒の友人がお祈りの時間になったとき、みんなで見守りました。分からないことは、相手に聞いたり自分で調べたりして学んでいけば大丈夫です。
海外の授業のディスカッションについていけますか?
最初は大変でも、月日がたつと力がついていきます。先輩も最初の1か月は毎回大変でしたが、少しずつ論理的に伝える力が伸びました。意見をぶつけ合っても、授業の後は笑顔で話す文化に驚いたそうです。
あわせて読みたい
この記事は、留学ドットコムのライター美沙季さんの異文化体験(前編・後編、2021年)を1本にまとめ直したものです。体験は2016年当時のものです。
ニュージーランド留学を無料で相談する
いろいろな国の人と学べる学校を選びたい
行きたい時期と期間、ご予算をお聞きして、学校選びから滞在先の手配、出発前の準備まで無料でご案内します。
公式LINEで留学を相談する(無料)フィリピンで英語の基礎をつくってからニュージーランドへ行く2カ国留学もご提案できます。





