知らないと損!15歳未満の子のフィリピン留学、WEG手続きの落とし穴と対策

近年ジュニア留学や親子留学のニーズが高まっていますが、未成年者の留学手続は「大人とまったく同じ」というわけにはいきません。
特に初心者向けの留学先として人気のフィリピンでは、15歳未満の方が単独で留学する場合にはWEGという申請手続きが必要となっています。
そこで、このコラムではWEGの概要や申請方法を詳しく解説致します!
未成年の渡航はなぜ厳しい?
フィリピンの場合には「15歳未満の単独フィリピン渡航(入国)する場合には、WEGの申請が必要」というルールがありますが、こうした未成年者の入国ルールは実は各国に存在します。
例えば、ニュージーランドやカナダでは「17歳以下の未成年者が単独渡航(入国)する場合には、親の同意書が必要」としています。
また、オーストラリアでは「18歳未満の学生ビザ保持者が単独入国する場合には、保護者や滞在先の後見人の承認書類が必要」としています。
各国のこうした対応は、子どもを誘拐や児童労働といった犯罪に巻き込まれるリスクを減らして、子どもの安全を守るために行われているんですね。
ちなみに、各国の「子どもの安全を守るために未成年者の出入国は厳しく管理しよう!」という流れや動きは高まっています。
なので、今後厳しくなる事はあっても今よりも緩くなることはおそらくないでしょう。
WEGとは?
フィリピンの15歳未満の単独渡航で使われる制度(WEG)とは、Waiver of Exclusion Groundの頭文字を取ったものです。
ざっくり日本語訳にすると「未成年者の入国排除を免除する」という内容になっています。
つまり、WEGの意味としては「未成年者は入国させないぞ!というルールを適用させない(免除して入国させよう)」という制度の事なんですね。
WEG申請は入国時に行われる
このWEG申請ですが、未成年のお子さんが「フィリピンの空港に到着し、入国審査をする直前」に行われます。
たまに「WEG申請を日本で行う」と勘違いをしている方もいらっしゃるのですが、正確には「WEGの申請はフィリピン到着時に行う。でも、WEG申請をするための準備は日本で行う必要がある」ということです。
どんな準備が必要なのか?
到着時にWEG申請をするために必要な書類は下記の通りです。
→メガネやカラーコンタクトを外したもの
→お子さんが日本国籍以外の場合には準備書類が異なるため注意
→2番のWEG申請書類に学校情報を記入する部分がある
→書類に署名する親権者の印鑑証明書
※書類は基本的に「原本+コピー」で2部用意をしていきます。
基本的に、フィリピン到着時にWEG申請をするための必要な準備としては「上記書類を一通り揃える事」になります。
ただ、「何も知らない一般の方が書類をパパッと揃えられるか」というとそれはちょっと難しい所があります。
なぜなら、準備する書類の一部には「一般の人にはちょっと馴染みが薄く、詳しい知識が必要」になるものもあるためです。
一番準備が大変なのは、やはり1番の書類(扶養・保証に関する同意宣誓供述書 (Affidavit of Support and Guarantee with Consent for WEG=ASGC)ですね。
この書類だけは「フィリピン大使館(領事館)で作成」、もしくは「公証役場で公証手続きとアポスティーユ認証」という作業が必要になっているからです。
偽造書類じゃないという証明作業が必要
フィリピン政府も「偽造された書類で未成年がどんどん入国されたら困る!」と考えています。
なので、フィリピン政府も重要書類がちゃんと本物かどうか確かめたいと思っています。
その確認作業が、前述した「フィリピン大使館(領事館)で作成」、もしくは「公証役場で公証手続きとアポスティーユ認証」という作業になるんですね。
証明方法は2つある
1番の書類(扶養・保証に関する同意宣誓供述書)に証明をくっつける方法は2つあります。
どちらの方法でも「証明自体の効果は同じ」になりますが、留学ドットコムでオススメしているのは後者(2番)の公証役場となっています。
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう!
1)フィリピン大使館(領事館)で作成する
→まず最初は1番の「フィリピン大使館のスタッフの面前で書類に署名をして書類を作成する」を解説します。
これは1番の書類をフィリピン大使館のスタッフの前で署名をして、フィリピン大使館スタッフが「この書類は本物だよ」という証明を出してくれるという方法です。(この場合には署名欄は必ず空欄にして大使館訪問が必要です)
メリットとしては、対面でスタッフから指示を受けながら署名や書類記入ができるため「書類作成において間違いがない」という点です。
一方のデメリットは、フィリピン大使館や領事館は東京、大阪、名古屋の3つだけになるため遠方の場合には「訪問しにくいという」という点になります。
特に大使館は、土日は休みだったり、予約制、営業時間も限られていますので、働いている親御さんが直接訪問するのはなかなか難しいでしょう。
そのため、この1番は「フィリピン大使館や領事館の近くに住んでいて、平日も仕事の都合をつけていつでも訪問できるよ」という親御さん以外には適さないのが実情です。
2)公証役場で公証手続きとアポスティーユ認証をする
→もう一つはフィリピン大使館(領事館)ではなく、公証役場と代理人を使う方法です。
公証役場とは、書類に公的な証明をしてくれる公的機関(役場)の事です。
公証役場には、公証人という法律の専門家が在籍し「この書類は間違いなく本物ですよ」という証明をしてくれる場所になります。
つまり、1番のフィリピン大使館(領事館)の代わりに、公証役場で「この書類は間違いなく本物ですよ!」と証明を貰う形を取るんですね。
そして、アポスティーユ認証とは「日本の書類を外国で正式に使えるようにする国際的な証明制度」の事を言います。
このアポスティーユ認証は、日本の外務省が発行する証明となっています。
ちなみに、なぜ公証役場だけの証明では不十分かと言うと…フィリピン人からしてみたら「え?日本の公証役場って何?」という状態だからです。
私たち日本人がフィリピンの公的制度をよく知らないように、フィリピン人も日本の公的制度をよく知りません。
なので、公証役場という施設レベルではなく、もう一段階上の「日本という国レベル」で証明を貰う必要があるんですね。
つまり、アポスティーユ認証を取ることで、公証役場に加えて日本の外務省からも「この書類は本物ですよ」という証明を貰えるという形になるのです。
そして、この公証役場を使う最大のメリットは「ご両親(当人)でなくても代理人でもOK」という点です。(デメリットは本人不在のためその場で修正ができないという点です)
そのため「遠方に住んでいたり、平日は仕事で忙しい…」という親御さんでも代理人が公証役場に出向いて証明を貰う事ができるんですね。
留学ドットコムでは、お申込頂いたお客様には無料で弊社スタッフが皆さんの代わりに都内の公証役場(※)に出向いてこの証明をお取りしています。
もしWEG申請で困っている方はぜひお気軽にご相談ください。
ちなみに、 都内の公証役場では「公証役場で認証→次は外務省で認証」という通常の流れではなく、「公証役場だけで外務省の認証も一緒に取れる(ワンストップサービス)」が利用できるため取得もスムーズとなっています。
また、留学ドットコムが代理人として行う場合の公証役場での実費費用は11,500円となっています。(別途代理人報酬が税込33,000円がかかります。国家資格者である、社内行政書士が業として代行します。※4週間以上の申込の場合、無料。)

→ワンストップサービスが利用できる公証役場で発行してもらえる書類イメージ(上段、中段、下段それぞれに公証役場、法務局、外務省の証明を3つ同時にもらえます)

→それぞれのメリット、デメリットは上記の通りです。
実際の申請方法を解説
次は、実際のWEG申請方法を解説致します!
WEG申請全体の流れ
↓
2.公証役場での公証とアポスティーユ認証
↓
3.書類を持ってフィリピン入国
1)必要書類の準備
まず最初のステップは必要書類の準備となりますので、準備する書類を一つ一つ見ていきましょう。
※現在はマイナンバーカードがあれば、ほとんどの自治体で戸籍謄本や印鑑証明書はコンビニで取得できます。
1.扶養・保証に関する同意宣誓供述書 (Affidavit of Support and Guarantee with Consent for WEG=ASGC)
→扶養・保証に関する同意宣誓供述書は、フィリピン公式ページ( https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/notarial-services/waiver-of-exclusion-ground-weg )からダウンロード可能です。

→こちらが記入例となります。
扶養・保証に関する同意宣誓供述書で、記入する部分は下記の通りです。
・国籍:JAPAN
・住所:アルファベットで英語式で記入
例)〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-16-15 ダイヤゲート池袋5階
↓
5F. 1-16-15 Minami Ikebukuro, Tosima-ku, Tokyo, JAPAN
・お子様のお名前:パスポート上の表記
・お子様の生年月日:日、月、年の順番(月は3文字で記載)
・お子様の出生地:市名, JAPAN
・お子様の年齢:数字のみ記載
・お子様のパスポート番号
・お子様のパスポート有効期限:
・日本の出発地
・フィリピンの到着地
・単独渡航の場合には左側をチェック
・フィリピンの学校名(滞在先名)+住所の2点を記入
・内容を確認してチェックを入れる
・印鑑証明書記載の親権者の署名を記入:パスポートと同じ漢字での署名
2.WEG申請書類 ※原本+コピーで合計2部
次は、フィリピン入国時に使うWEGの申請用紙を作成していきます。
こちらもフィリピン公式ページ( https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/notarial-services/waiver-of-exclusion-ground-weg )からダウンロード可能です。
記入する場所は下記の通りです。
・お子様の性別:Male(男)、Female(女)
・お子様の国籍
・お子様の生年月日と出生地
・お子様のパスポート番号
・お子様のパスポート発行日と発行地
・フィリピンの到着日(入国日)
・フィリピン到着日(入国日)の便名
・日本の出発空港
(親権者以外が同行する場合の項目なので、通常は空欄)
・留学先の学校名と住所
・左下に印鑑証明書記載の親権者の署名(アルファベットも併記)
3.お子さんの証明写真(パスポートサイズ:4.5cm×3.5cm)2枚(A4サイズ)
→こちらはメガネやカラーコンタクトを外したパスポートサイズの証明写真を2枚準備します。
証明写真については、特に難しい所はないと思います。
4.お子さんのパスポートコピー(A4サイズ) 2部
→次はお子さんのパスポートコピーです。
コピーはカラーで明瞭なものになるように作成をします。
また、コピーはA4サイズとなり、書類をパスポートサイズで切り取る必要などはありません。(切り抜いてA4サイズ以外のパスポートコピーは申請に使えないためご注意!)
5.親権者のパスポートコピー(A4サイズ) 2部
→次は、親権者のパスポートコピーとなります。
こちらもカラーで明瞭なものになるようにコピーを取り、A4サイズの用紙から切り取りなどもしないようにご注意ください。
6.戸籍謄本の原本 ※原本+コピー
→次は戸籍謄本の原本とA4サイズでのコピーを準備します。(ただし、お子さんが日本国籍以外の場合には準備書類が異なるためご注意ください)
7.WEG用の戸籍謄本の英訳書 ※原本+コピーで合計2部
→上記の戸籍謄本は日本語表示でそのままではフィリピン移民局で受け付けてもらえないため、戸籍謄本の英訳書を準備します。
ちなみに、フィリピンのWEGについては翻訳業者などに別途依頼をしなくても大丈夫です。
下記フィリピン公式ページ( https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/notarial-services/waiver-of-exclusion-ground-weg )からダウンロード可能をしてこの書類を利用していきます。

→戸籍謄本英訳書の記入例です。
記入する場所は下記の通りです。
・本籍の住所
・お子様のお名前(名前→名字の順番)
・お子様の生年月日
・お子様の出生地
・お母様のお名前:ローマ字(名前→名字の順番)
・お父様のお名前:ローマ字(名前→名字の順番)
・両親の結婚有無:該当のものを選択(チェック)
・両親が離婚している場合の親権者:該当のものを選択(チェック)
・その他の情報(追加情報がある場合の項目なので、通常は空欄)
・印鑑証明書記載の親権者のお名前:アルファベット
留学先の学校名と住所
・左下に印鑑証明書記載の親権者の署名(アルファベットも併記)
8.委任状 (公証役場での認証用)
次は、公証役場に提出する際の委任状になります。(委任状は公証役場によって形式が若干異なるため、訪問する公証役場に確認が必要です)

→委任状の一例です。
記入する場所は下記の通りです。
・氏名欄の記入(印鑑証明書記載の親権者のお名前)
・印鑑証明書の実印を指定か所に捺印
注意点としては、印鑑証明書や戸籍謄本については3ヶ月以内のものが必要になるため、公証人役場訪問の直前に取得しましょう。
9.入学許可証
留学する教育機関の入学許可証です。
2番のWEG申請書類に学校情報を記入する部分がありますので、余裕を持って学校お手続を進めていきましょう。
10.印鑑証明書
委任状と一緒に提出する印鑑証明書となります。
書類に署名する親権者の印鑑証明である必要がありますので、「親権者、書類の署名者、印鑑の所有者」は必ず揃えましょう。
2.公証役場での公証とアポスティーユ認証
必要書類を準備したら、次はいよいよ公証役場への訪問です。
書類を不備なく準備をすれば、あとは訪問するだけですが、注意点としては下記のように書類準備や訪問に一定の時間がどうしてもかかるため「早め早めに動く」というのが重要です。
→書類の準備前に学校から入学許可証を発行して貰わないといけません。つまり公証役場の訪問前に「学校や出発日の決定、お申込、お支払い、チケット手配」を済ませておく必要があります。
→戸籍謄本や本籍地が居住地と異なっていて、マイナンバーカードを使った取得もできない場合(郵送取り寄せが必要になる場合)には書類準備に予定よりも時間がかかってしまいます。
→親権者の方がパスポートをお持ちでなかったり、パスポートの有効期限が切れているという場合にはその準備も必要になります。
→大使館や公証役場も混んでいてすぐに訪問できない(予約ができない)というケースもあります。
目安スケジュール
・書類の準備:3ヶ月前~
・大使館や公証役場への訪問:2ヶ月前~
未成年のフィリピン留学の場合には、出発時期が春休みや夏休みなどピンポイントで集中するため、学校の空き状況を踏まえて6ヶ月以上前のお手続きやお申込が理想です。
これは近年フィリピン留学はご出発3,4ヶ月前だと既に学校がほぼ満席で手続ができないという事も多いためです。
上記のようにご出発までに、各書類の準備が間に合わなければフィリピン入国ができませんので、ゆとりを持った手続きが重要です!
3.書類を持ってフィリピン入国
最後はいよいよ書類を持ってのフィリピン入国となります。
WEG申請は、入国審査の前に行う形になりますので、必要書類を全て手荷物にしてすぐに取り出せるようにしておきましょう。(預け荷物には決して入れない)
また、WEG申請にはフィリピンペソ(現金)が必要になりますので、日本の空港や銀行、郵便局などで申請料(3,620ペソ)を事前に準備しておきます。(2025年7月に費用が値上がりしています)
フィリピンのセブの場合には、入国審査場の向かって左手にあるのがビザ手続きの窓口になっていてそこでWEGの申請をします。
ちなみに、空港で未成年の単独渡航者はかなり目立ちますので、搭乗時や到着時の空港職員もアドバイスやお声かけをしてくれるはずですし、最悪WEG書類を手に持って困った顔で空港職員へ見せればなんとかなります(笑)
その上で、もしどうしても「子ども一人での渡航は心配…」という方は、団体留学(ジュニアキャンプ)のような選択肢も検討してみましょう。
→フィリピンにはジュニアキャンプ専用で受け入れをしている学校さんもあります。
また、日本への帰国時はWEGの手続きは不要ですので、帰国時はフィリピンでの搭乗、日本のご帰国はスムーズです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
一見難しそうに見える手続きですが、1つ1つステップを踏めば問題なく準備ができるものですので安心してくださいね。
また、現在親子留学や単独留学でフィリピンを訪れる未成年者も増加していますので、今後WEG申請の機会や申請者も増えていくことが予想されます。
こちらのコラム情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
※本記事の内容は正確を期しておりますが、最終的な入国可否の判断は各国の移民局の裁量によるものとなるため、入国を保証するものではありません。また、移民法などの制度は予告なく変更される可能性がありますので、最新の情報はフィリピン大使館の公式ウェブサイトにてご確認ください。
良く頂くQ&A
Q:WEGの書類準備の注意点は?
A:書類準備では下記の点にご注意ください。
・ゆとりを持った準備と申請(2ヶ月ほど前)を行う
→戸籍謄本や本籍地が居住地と異なっていて、マイナンバーカードを使った取得もできない場合(郵送取り寄せが必要になる場合)には書類準備に多少時間がかかるためです。
・全ての書類はA4サイズで準備
→パスポートのコピーもハサミなどで切らずにA4のもので提出が必要になっています。
・公証役場で利用する印鑑証明書、戸籍謄本は必ず発行から3ヶ月以内である必要があります。
・書類内では「印鑑証明書の名前=親権者=親権者の署名欄」は全て同じ人物で揃える必要があります。
・コピーは顔写真の写真や文字がはっきり見えるようなカラーコピーで行います
Q:留学ドットコムに認証代行を依頼した場合の流れを教えてください
A:必要書類をご準備(郵送)して頂き、その書類を持って留学ドットコムスタッフが代理人として認証を行います。
そして、認証を終えた書類はご自宅まで郵送で返送致します。
→パスポート作成(親権者、お子様)
→お子様の署名写真
→戸籍謄本の取得
→入学許可証
→印鑑証明書
→内容に不備や間違いがないか郵送前にご確認させて頂きます。
→「扶養・保証に関する同意宣誓供述書」、「WEG申請書類」、「委任状」には親権者の方にご署名を頂きます。