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【日本人は内向き志向?】日本に留学希望者が少ない3つの理由を解説!

公開:2019/06/24 著者:神谷 歩実 17836 Views

2019年5月末に、若者に対する内閣府の意識調査が様々なネットニュースで取り上げられていました。

調査の概要は、、、

 

・対象者: 13~29歳の男女
・対象国: 日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンの7か国
・調査方法: インターネット調査
・対象者数: 各国約1,000名ずつ

 

意識調査の中で話題となったのは、留学に関する項目です。

 

その項目は、下記のように留学に行きたくない・興味のない人が調査対象国の中で、日本人がダントツで多いという結果だったのです。

 

・「将来海外留学をしたいですか?」に対して「はい」と答えた人は韓国が65.7%、日本は32.3%
・「留学したいと思わない」が50%を超えたのは日本だけ(53.2%)

 

ネットニュースでは「日本の若者が内向きだからだ」や「異文化への興味が減少している」などの理由があげられていました。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?

このコラムでは、日本人の留学希望者が少ない理由を、意識調査の対象となった他の国と比較しながら考えていきます!

どうして留学に行きたくないの?

コラム執筆時点では、今回の意識調査の結果についての正式な報告は、内閣府から出ていません。そこで、私が以前書いたコラムに触れながら、留学に行きたくない理由を考えていこうと思います。

留学ドットコムでは以前に2回、留学に行きたくない理由を調査したことがあります。1つは留学に行きたくない大学生にインタビュー調査、もう一つは理系の大学でアンケート調査をしました。

その2回の調査の中でわかった、留学に行きたくない(もしくはハードルを感じる)理由は…

 

① 語学面の不安
② お金がない
③ 行く必要性を感じない
④ 治安が不安
⑤ 健康面の不安
⑥ ホームシックが不安

 

この6つが大きなものでした。

今回内閣府が行った意識調査に回答をした方々が、どのような理由で「行きたくない」と答えたのかはわかりませんが、恐らくこのような理由を持つ人が多いのではないでしょうか。

 

日本人が内向き志向だから…は本当?

今回の内閣府意識調査を調べていく中で、いくつかのネットニュースでは「日本の若者は異文化に興味がない」だとか「日本人の内向き志向」などを理由として挙げていました。

確かに日本人はシャイで、新しい環境に飛び込むことが苦手だというイメージは多くの人が持っていると思いますし、私自身も少しは持っています。

しかし、今回の調査結果を「日本人の内向き志向」という性格的な面だけで片づけてよいのでしょうか?

今回話題になっている内閣府意識調査で対象となった7か国は、以下の国々です。

 

・日本
・韓国
・イギリス
・ドイツ
・フランス
・スウェーデン
・アメリカ

 

この7か国を比較しながら、「留学に行きたくない理由」として先ほど書いた6つの理由のうち、「言語面」「金銭面」「行く必要性」について考えていきましょう!

 

① 言語面の不安

留学ドットコムが行ったアンケートやインタビュー調査では、留学に行きたくない、ハードルを感じる理由を聞いた時に「英語ができないから」と答える方がとても多くいました。そこで、他の国と比べて、日本人が留学の際にどれくらい言語面のハードルがあるのか考えてみましょう。

日本人が英語やフランス語などを勉強するとなると、日本語とは大きく異なる文法や文字体系(つづり難しいですよね…)を一から覚える必要があります。

しかし、他の国の人にとってはどうでしょうか?例えばアメリカ。海外に留学するアメリカ人に人気の留学先トップ10がこちらです。

 

1位:イギリス
2位:イタリア
3位:スペイン
4位:フランス
5位:ドイツ
6位:中国
7位:アイルランド
8位:オーストラリア
9位:コスタリカ
10位:日本
(出典: Forbes JAPAN / 米国人学生に人気の留学先、日本は10位)

 

日本人の留学ではまず考えられないと思いますが、1位のイギリスは英語圏なので、留学なのに話す言葉は同じです…!イギリスだけでなく7位のアイルランド、8位のオーストラリアも英語圏なので、言語的ハードルはほぼ0です。

また、イタリアやスペインなどのヨーロッパ諸国の言語は、英語と比較的似ていて、少なくとも日本人が英語を勉強するよりは時間がかからないと言っていいと思います。

アメリカにはFSI(The Foreign Service Institute)という外国語教育機関があり、そこでは英語話者が外国語を学習するのにどれくらいの時間が必要か、というデータを発表しています。

 

カテゴリー言語の種類必要な学習時間
カテゴリー1イタリア語スペイン語
オランダ語、フランス語など
600~750時間
カテゴリー2ドイツ語、インドネシア語、
マレー語、スワヒリ語など
900時間
カテゴリー3チェコ語、モンゴル語、
ロシア語、トルコ語など
1,100時間
カテゴリー4日本語、中国語、韓国語、
アラビア語
2,200時間

(出典: アメリカ国務省 The Foreign Service Institute)

 

イタリア語やスペイン語を習得するのに必要な時間は約600~750時間なのに対し、日本語は2,200時間かかるというデータが出ています。

これは、あくまでもアメリカ人などの英語話者が日本語を勉強する学習時間ですが、日本人が英語を勉強する学習時間も同じくらい時間がかかると考えるのが自然です。

ちなみに、アメリカ人の人気留学先第9位のコスタリカはスペイン語圏なので、英語に似ている言語を持つ国です。

 

つまり、ランキングの中国・日本以外の国はどこも、言語的なハードルがかなり低いと考えられます。

 

今回の意識調査の対象になった国の中で、日本と韓国以外は全て欧米圏の国です。ヨーロッパもまたアメリカ人と同じように、お互い似通った言語を話している国が多いため、言語面のハードルが比較的低いと言えます。

こう見ると、留学に対して日本人が言語的ハードルを感じるのは仕方ないのかもしれません。

 

② 金銭的ハードル

留学は短期でも数十万、年単位の長期留学だと数百万円ものお金がかかる、大きな買い物です。留学はお金がかかるから行きたくても行けない…という気持ちや、そんなにお金払う価値あるの?という気持ちが、留学に対するハードルをあげる大きな要因になっています。

そこで、留学に対する金銭的なハードルも、他の国と比較してみましょう。

内閣府の意識調査で比較されている国の内、4か国がヨーロッパの国です。頭の中にヨーロッパの地図を想像してみて下さい。

 

 

ヨーロッパの国は比較的サイズが小さく、隣国と陸路でつながっている場合が多いですし、LCC(格安航空会社)の飛行機もかなり発達しています。

イギリス・ロンドンに住む人が、フランス・パリに留学する場合、航空券は安いと1万円ちょっと。ちなみにイギリスは島国ですが、フランスと電車やバスでも行き来できるようになっています。ロンドンからパリはバスで20ドル(約2,200円)、7時間ほどで到着します。

留学先までバスで2,000円、飛行機でも1万円な上に1時間でついてしまうなんて、日本人の感覚では衝撃だと思います。

 

さらに、EU圏内では人の移動がとても活発です。EU国間で留学をした場合、学生ビザで気軽にアルバイトができてしまいます。

ロンドンからパリの距離は、東京から京都の距離とほぼ同じです。言語はもちろん違いますが、距離や交通費に関しては、日本の地方に住む学生が東京の大学に進学することとさほど差はないと言えます。

陸路で安く移動できる上に、アルバイトもしっかりできれば、日本人が留学に行くよりも比較的金銭的ハードルも低いと考えられますね。

 

③ 留学の必要性

今まで留学に対する「不安」という面を見てきましたが、次は留学のメリットの面について考えていきます。

まずは、ここまであまりコラムで触れなかった韓国と比べてみましょう。

韓国は日本とかなり状況が似ていて、留学先の言語と韓国語はあまり似ていないし、距離も遠いからお金もかかる。そういう意味では、留学に対するハードルが日本と同じくらい高い国だと思います。

 

しかし、内閣府の意識調査によると、海外留学を希望する人の割合が最も高かったのは韓国で、日本の倍近くに上ったとのことでした。

 

どうして日本と似た状況の韓国が、一番留学に関心の強い国になったのでしょうか?

これはあくまでも「1つの」理由になりますが、日本と韓国の就職率の差があげられるでしょう。

韓国では、大学を卒業しても就職するのがとても大変なくらい、若者の就職率の低さが問題化しており、国としても海外で働くことを支援しています。

 

高学歴な人材でも韓国国内で働くことが難しい韓国の人々は、海外に働き口を見出すために、大学から海外に出たり、インターンシップをしたりと、留学に行く「必要性」が高いのです。

 

ここで言う韓国人の海外留学は、日本人がキャリアアップや就職活動のために行く留学とは少し違う形と言えます。つまり、韓国人は将来的に「海外で働くために」留学をしている人が多いということです。

それに比べ日本では、人手不足が問題化しており、有効求人倍率も1.6倍と、働き口より働く人材の方が少ない状況です。

私も含めた2020年卒の新卒採用では、6月から面接解禁だったにもかかわらず、5月の段階で就活生の50%が内定を持っているというニュースがありました。

 

今の日本の採用状況では、留学経験を武器にしなくても、大学さえ卒業してしまえば少なくとも働き口はあるという現状です。

 

今まで見てきたように、現在日本人にとっては金銭的にも言語的にもハードルの高い留学に、わざわざ行かなくても十分就職できてしまう状況なんです。

留学希望者の割合を日本と韓国で比べた時に、もちろん就職状況以外の違いもたくさんあるとは思いますが、1つの理由は「海外留学に行く必要に駆られているかどうか」という所だと言えるでしょう。

 

改めて考える留学のメリット

ここまで、内閣府の意識調査対象国7か国を比較しながら、日本人にとっての留学がどんなものかを考えてきました。

いくつかのネットニュースでは「若者の内向き志向が原因である」という分析もされていましたが、他の国と比較するとそれだけではなさそうだ、ということがわかってきました。

 

・他国と比べて言語面・金銭面・距離など様々なところで比較的ハードルが高い
・そのハードルを乗り越えてまで海外に出ないといけないほど、就職で困っていない

 

この2つも、日本人の留学希望割合の低さの一因である可能性が出てきましたね。

それではそんなハードルの高い留学、留学へ行かなくても就職できてしまう現状で「あえて留学をするメリット」とは何でしょう。

こう考えることはできないでしょうか?

 

ハードルが高い「のに」留学に行くのではなく、ハードルが高い「から」留学に行く。

 

日本の大学生の内、在学中に留学する人はたった3%だというデータも、文部科学省が出していました。内閣府の意識調査で留学希望者が3割だったというデータと比べると、実際に留学している人はさらに少ないですよね。

このように留学経験者が少ないからこそ、「留学に行きたい、だから行くんだ!」というあなたの意思を実現することそのものが、留学の大きな価値の一つです。

 

そして、英語力はもちろん、日本で育ったあなたとは全く違うバックグラウンドを持つ外国人と一緒に生活した体験や働いた経験は、留学希望者が少ないからこそ大きな武器になるのです。

 

日本人の中で留学する人が多く、留学が誰にとっても身近な選択肢だったら、留学そのものが就職活動で大きな武器にならなくなってしまいます。

現在、日本は留学に行かなくても就職できる状況にあります。でも、だからこそ、留学に敢えて行く、挑戦する事が、あなたの成長に繋がりますし、人生を豊かにする大きなターニングポイントになるはずです!

 

まとめ

このコラムでは、「日本は留学希望者の割合がダントツで低い!」という内閣府の意識調査を受けて、改めて留学のメリットについて考えてみました。

ヨーロッパの国と比べると、日本人にとっての海外留学は、ハードルの高さや留学の意味そのものが少し違うことが分かりました。しかし、日本から留学に行くからこそのメリットもありましたよね。

この記事を読んでいる留学希望者の3割に当てはまる人はぜひ、留学ドットコムでお手伝いさせてください!そして、当てはまらない7割の方々にも、留学の魅力が伝わるよう、これからもコラムでたくさん発信していこうと思います。

 

留学と就職活動について詳しく知りたい方はこちらもチェック!
留学に行きたくない人のインタビューはこちら
ジャーナリスト大宅映子さんも日本人の若者の海外離れについて危惧

 

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