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純日本人?ハーフ以外にもある色々なバックグランドと言語の関係性

公開:2020/01/08 著者:小松 久里子 3807 Views

日本でもハーフのカテゴリーのハーブ芸人さんや、ハーフタレントさん、そしてハーフのモデルさんなどメディアにも多くのハーフの方がいらっしゃいます。ですが、

その皆さんのバックグランドを詳しく見ると、日本でハーフと言われる2つの国籍や人種だけではなく、もっと複雑なバックグランドの方も多くいます。

日本は島国であることもあり、あまり複雑なバックグランドの方が少ない、少なかった国かと思います。

 

日本でも最近「ハーフあるある」みたいな話題も耳にしますが、その中の一つでよく聞くのは「ハーフだから英語ができる。」というイメージです。

 

ですが、一概にもそうではないことも多いのも、たまにハーフの方が言っていると思います。

タレントのウエンツ瑛士さんやベッキーさんは、良くバラエティー番組で「英語できないの?」と突っ込まれるシーンを見たことがある人も多いのではないでしょうか?

今回は、私の周りの方や自分の体験を元に、ハーフ以外にもある様々なバックグランドについてお話したいと思います。

ヨーロッパでハーフは当たり前

日本は単一民族の国のイメージもありますが、ヨーロッパでは家族の誰かが他のヨーロッパの国の方という事はよくあることです。

私の友達の中にも「おじいさんがイタリア人、おばあさんがドイツ人」という子もいますし、もちろん「お母さんがドイツ人、お父さんがフランス人」なんていう子もいます。

 

ただし、皆欧米人なので、外見的にはそれがあまり分からないことが多く、それがあまり気にならない要因なかもしれません。

 

また、ヨーロッパの国によってはアフリカやアラブ系のハーフの子も多く、本当に色んな子がいるなと思います。

彼らのバックグランドによっても、生活の中でも色々考慮していかなければいけない事などもあります。

しかし、そういったことはまだまだ日本でも認知されていない気がします。

 

外見はアジア人、でも…

中には移民の子もいます。例えば、お父さんもお母さんも他の国だけれど、自分はフランス人、というケース。

特にフランスは、「フランスで生まれたらフランス人国籍が取得できる。」ので、いくら両親が他の人種であっても、本人がフランスで生まれて、フランスで教育を受けていれば、その子はれっきとしたフランス人という事になります。

 

外見は欧米人でなくても、国籍や教育という面では欧米人という子も多いのが、ヨーロッパです。

 

逆に日本はそのケースが少ないのですが、それは国籍取得の規則が関係していると思います。

 

出生による国籍取得の規定に関して

ちょっと脱線しますが、国籍取得、特に出生による取得に関して、世界には2つの種類があるのをご存じでしょうか?

出生による国籍取得の場合、血統主義と出生地主義があります。この規則も、国籍や血統に関係している気がします。

 

・血統主義

出生による国籍の取得については、親の血統と同じ国籍を子に与える立法、すなわち自国民から生まれた子に自国の国籍の取得を認める。

 

・出生地主義

出生地の国籍を子に与える立法、すなわち自国で生まれた子に自国の国籍の取得を認める。

 

日本や韓国、実はヨーロッパでもドイツなどは血統主義です。ですが、国の立法も一方の主義に徹底しているということでもなく、無国籍防止や子どもの人権擁護の観点から両者を併用している国も多いです。

血統主義のドイツも含め、ヨーロッパ諸国ではたとえ血統主義であっても、少なくとも自国に永住する外国人の子や孫には国籍の取得を認めている例が多いです。

こういった背景のも、海外諸国の血統と国籍の関係にも繋がっているのではないかと思います。

 

ハーフのカテゴリー

「ハーフ」は日本語では混血とも言いますが、この場合、通常は父親と母親の血統が異なる場合だと思います。

日本語ではこの場合、「日本人と外国人の親から生まれた個人を指すために使用される日本語の用語。」とWikipediaにも書いてあります。

日本では、ハーフと言うのは親御さんのお一方が日本ということなので、日本からの視点でのカテゴリーかという印象があります。

 

先日、数人のハーフの子に会ったのですが、彼らの会話の中で「どっち側?」と相手に聞いている話を耳にしました。

これは「日本側」か「外国側」という事らしいのですが、これは話せる言語の事を言っていることもあれば、どこで暮らしてきたか、もちろん自分のアイデンティティーの事もあるようです。

アイデンティティーは、話せる言語にもよるような気がしますが。

 

ハーフは自分ではなく、周囲の反応にもよることがある

これは私が出会ってきた周りのハーフの方を見ていて感じたのですが、ハーフの方は周囲に受け入れてもらうには容姿や雰囲気も関係しているかと思います。これはハーフの方本人ではなく、その容姿をどう周りが見るかが関係してしまうため、これこそ国際的視野を持つという事にも大きく関係してくる大事な問題でしょう。また、それはどこに暮らすかにも大きく関係していきます。

例えば、容姿がどちらかと言うとアジアより、日本人よりで、日本で生まれて日本で生活をし、日本の教育を受けて来た場合は、ハーフの方でも日本人として受け入れられる傾向があります。

逆にいくら日本で生まれて、日本で生活をして日本の教育を受けてきていても、容姿が欧米人よりだと外国の人と言う風に見られがちになり、色々問題も抱えるケースがある気がします。

 

また、面白い事に、同じ家庭に生まれた兄弟でも顔立ちが違う事もケースもあります。

 

私が会った兄弟の何組かはお兄ちゃんが日本人よりで、弟が欧米人よりというケースが結構多かったです。

 

ハーフの人はどう感じているのか?

実際にハーフの方々は自分たちをどう見ているのか…。実は私の知り合いの日仏ハーフの学生さんが、「ハーフに関するアンケート調査」をしていたことがありました。

その質問用紙を拝見させてもらったことがあるのですが、そのアンケートに参加した他のハーフの方が「年代にもよると思うのだけれど、ちょっと自分探しみたいなアンケートでした。」と話していました。

10代であると、ハーフの方に限らず自己認識をしたり「自分探し」をしたりする年代かもしれません。そして、ハーフという2つのアイデンティティーを持つ方々だと、その間で色々考えることが増えるのかもしれません。

 

特に日本は外見的要素が大きく影響するようにも思うので、これはそれがよく表れた例かと思います。

 

また、周囲の受け止め方にもよる気がしますが、本人がどう受け止めるかも関係します。アンケートに参加された方は30代の方だったので、そういう問題は一切ないと言っていました。

また、私の知り合いの中仏ハーフの方は、兄弟でお兄さんがどちらかと言うとアジア系、弟がどちらかと言うとヨーロッパ系の顔をしています。

弟さんは周りに「どこの人種?」というような質問をされると、「母親が中国人。」と返答しています。

 

彼からすると、血統的にはたまたま母親が中国人であるが、本人はフランス人という認識を持っています。

彼は、「フランスで生まれて、フランスで教育を受け、母親とは中国語で話すが、それ以外の中国的要素は自分の中にはないし、僕はフランス人。」と言っています。

こういった考え方自体、欧米の方が受け入れられやすいのだと思います。やはりこう言った捉え方の違いも、どこで生まれて、どこで暮らしてきたかが大きく影響してくると思います。

 

ハーフは必ずしもバイリンガルじゃない

また、先ほど「ハーフあるある」にも書きましたが、「ハーフの方は英語ができる。」と思われがちです。これは当然ですが、家庭環境や育った環境にもよります。日本で生まれて日本で生活をし、日本の教育を受けて来た場合は、日本語しか話せないというケースも多くあります。

たとえご両親の片方が海外の方でも、必ずしも英語圏の人ではないこともあります。その場合、その親御さんの母国語が話せるかどうかという話になりますが、子供は通常母親と一緒にいる時間が長いので、母親の血統にもよるでしょう。

例えば、母親が日本人で、日本に生まれて日本で生活していた場合は、他の言語が話せない時もあります。また、ハーフの子でインターナショナルスクールに通ったり、フランス系の学校に通ったりすると、日本に住んでいても言語的にどちらかと言うと欧米よりになることもあります。

 

ハーフ家族のバイリンガル教育は意外と大変

ヨーロッパに住む家族の場合、今度は日本語教育が問題になってきます。私が知っている母親が日仏家庭のお話だと、母親がいくら日本語を話しても、子供は「お母さんだけが話す言語」という認識をして、他の人とはフランス語、母親とは日本語、を話すケースが多いようです。

また、この場合は父親がフランス人で日本語を話せるかどうかも、子供の言語発達に影響してくるようです。もし両親が日本語で会話をしていれば、子供にとって「お母さんだけが話す言語」ではなくなるので、言語学習にも好影響があるようです。

また、何番目の子供かというのも一つの大きな要素になります。と言うのは最初の子は家で話す相手が父親と母親で二人だけです。

 

父親とは父親の母国語、母親とは母親の母国語を話すので、一番目の子はバイリンガルになりやすい傾向があります。

 

ですが、2番目からの子は、家族には父親、母親、一番目の子(お兄さんかお姉さん)がいることになります。この場合、実は1番目の子が日本語を「お母さんだけが話す言語」と認識するため、2番目の子(弟か妹)は「他の人」という認識になります。

そのため、兄弟の会話はその他の言語である現地の言葉を話すケースが多く、2番目の子からはバイリンガルになる可能性が少し低くなるようです。

上記は、滞在国での言語が優越になるケースです。これと同じケースが日本でもあるとすれば、日本に在住し日本の教育を受けている場合は、日本語だけしかできないハーフの方や、日本語の方が得意なハーフさんが多くなる、ということだと思います。

 

クオーターやミックスは?

また、最近では、片親が日本人で、片親が他国というだけではなく、もっと複雑で色々なバックグランドを持っている方もいます。クオーターというのは4分の1と言う意味で、日本以外の血が4分の1入っている場合を言いますが、ヨーロッパではもっと複雑なミックスの方々もいます。

私の友人で、タイ人とフランス人のハーフの子がいるのですが、その子が私のもう一人の友達のロシア人とウクライナ人のハーフの子と結婚しました。

結婚後、アメリカに渡り子供ができ、その子はアメリカで生まれたので、国籍はアメリカ国籍も持ち、そして、血統は4分の1フランス、4分の1タイ、4分の1ロシア、4分の1ウクライナです。今はフランスで暮らし、フランス人として生活しています。

 

今では血統だけではなく、どこで生まれて、どこで育って来たかでも本人のアイデンティティーに影響してきます。

 

一概にハーフやクオーターなどは外見だけで決めつけてはいけない、ということではないでしょうか?

 

見た目は一つの血統のみだけど…日系人?バナナ?オレオ?

もう一つ、最近出会った方々で別のカテゴリーの方がいたのですが、南米などには日系人と呼ばれる日系2世、3世と言ったご両親が日本人だけれど、他国で育った方がいます。特に南米やハワイなどには日系の方も多いイメージです。

彼らは血統としては日本人なのかもしれませんが、生まれも育ちも南米で、日本語ができない方も多いです。先ほど述べた「血統主義=親の血統」と同じ国籍を子に与える立法があるため、彼らも日本国籍を持っている、持てることが多いです。最近ではこういった方々も日本に来られるケースも増えています。

私がフランスで出会った子の中に、ご両親とも日本人だけれども、本人はフランスで生まれてフランスの教育で育ったという子がいます。彼女は「私バナナなんです。」と言っていました。

 

バナナと聞くと、反日的な言葉、差別用語にも思われがちですが、これは見た目が黄色人種、中は白人という事で、的を得ているなと思いました。

ご両親は仕事の関係でフランスに来たので、彼女はフランス語を話すと、フランスの若者という印象があるのですが、日本語を話すとご両親とお話している影響で昭和な日本語を話します。

彼女は正にバイリンガルですが、最近ではこういった例もあるようです。

 

また、先日コンゴ人の子に出会ったのですが、彼女は自分を「オレオ」と言っていました。これもまたちょっと複雑な話かもしれませんが、彼女は幼い頃にフランス人の家庭に養子に入りました。生みの親御さんはコンゴ人ですが、育ての親はフランス人でフランスの家庭で育ち、フランスの教育を受けてきました。

なので、彼女たちのような子達は、「オレオ」と言うんだそうです。これも、黒いビスケットに挟まれた白いクリームは、その見えているクリームの部分がフランス人家庭で育った部分も表しているのかなと思ったりもしました。

 

ハーフ、クオーター、ミックス…人は見かけじゃない

私自身は純日本人なので、もしかしたら「純日本人なのに…。」と思われるかもしれません。

ですが、今回この記事を書いたのは、私自身は12歳で日本を離れて、家族とも離れてヨーロッパ暮らしを20年以上してきているから、というのもあります。

両親も日本人ですが、親元も離れて海外暮らしを何年もして、それでも私は日本人です。ですが、私が住むフランスでは、相手の自分に対する見方によっても自分のアイデンティティーが変化したりもします。

 

たまに海外に長い方で欧米人化、フランス人化、していく方にも出会います。こういうのも人それぞれだなと思います。また、逆に海外滞在が長くなると、日本人的に戻って行くケースもあります。

年を重ねて、やっぱり日本食が恋しくなったり、日本に帰ろうと思ったりすること自体、日本人的に戻っていくシグナルと言えるでしょう。滞在国や滞在中の環境が人格形成にも関係していくので、外見というのはその人のアイデンティティーの一つではありますが、それだけで判断できないということです。

最近では国際カップルも増えてきていますし、ハーフのお子さんも増えています。そして、海外移住者も増えてきており、日日カップルさんでもお子さんが海外で暮らしてきているケースもあるでしょう。

 

人は見かけじゃない…はこんなところでも言えるのかもしれない

結局、私自身ですら、自分が誰なのか、分からなくなることがあります。日本人ですが、もう既に日本滞在時間よりも、海外滞在歴の方が長くなっています。

また、家族とも離れて住んでいるので、家庭環境に関しても自分のアイデンティティーにはあまり関係ないのかもしれない、と思ったりします。

フランスに住んでいると、人を外見で判断するような日本人的な考えもありません。

 

色々経験をしてきて感じることは、国際人になるというのは、こういったところからも始まるんじゃないかと思うのです。

 

個人的には言語力も大事ですが、コミュニケーション力の方がもっと大事だと思っています。

相手が誰であっても、どこの国の人でも、コミュニケーションを取るという事が、国際人の一歩かなと思うのです。

 

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