オタゴ大学(University of Otago)は、1869年に創立されたニュージーランドで最も古い大学です。南島のダニーデンにあり、街全体が学生の町と呼ばれるほど、大学と暮らしが近いのが特徴です。
この記事では、大学の基本と入学までの流れに加えて、日本の高校を卒業してからオタゴ大学の教員養成課程に進み、3年間で卒業した先輩の体験を紹介します。パンフレットだけでは分からない、授業や教育実習の大変さ、寮やフラットの暮らし、ダニーデンの冬の様子まで、実際の話を聞きました。
この記事の要点
- オタゴ大学はニュージーランド最古の大学。メインキャンパスは南島のダニーデンで、学生の多くが大学の近くに住んでいます
- 日本の高校から直接入る正規留学には、学業の条件と英語の点数が必要。足りない人のために大学付属の英語コースがあります
- 卒業した先輩は、語学学校で3か月勉強して入学に必要な点数を取りましたが、入学後の授業はその点数だけではついていけないほど大変でした
- ニュージーランドの学部は多くが3年で卒業。入るより卒業する方が大変と言われるとおりの3年間でした
- 大学付属の語学学校には、社会人が半年だけ英語を学びに来る人もいます。仕事を辞めて半年学んだ先輩は、話せなかった初級クラスから、英語で旅行を楽しめるまでになりました
オタゴ大学とダニーデン
オタゴ大学は1869年に創立された、ニュージーランドで最も古い歴史を持つ国立の総合大学です。メインキャンパスは南島のオタゴ地方にあるダニーデンで、ほとんどの学部と科目はここで学びます。国内で唯一の歯学部があることでも知られています。
学部は大きく、ビジネス、健康科学、人文、サイエンスの4つに分かれています。教育学や法学は人文、医学や歯学、薬学は健康科学に入ります。学びたい分野があるかは、大学の公式サイトで確かめておきましょう。

ダニーデンは学生の町です。学生の多くはダニーデンの外や海外から来ていて、キャンパスのすぐ近くに住んでいます。そのぶん、健康や障害、ITや就職などの学生向けのサポートも充実しています。坂の多い街で、近くにはオタゴ湾や海があり、ニュージーランドで唯一の城とされるラーナック城、街じゅうのストリートアート、郊外のサイクリングコースなど、勉強の合間に出かけられる場所もたくさんあります。
日本から入学するには
海外の大学で学ぶ方法は、日本の大学の協定校に半年や1年留学する協定留学と、日本の高校を卒業してから直接入学し、卒業までを過ごす正規留学の2つがあります。オタゴ大学に正規留学する場合の流れです。
- 学業の条件を満たす日本からの正規留学では、高校の成績や、日本の大学で学んだ経験などの条件があります。どれを満たせばよいかは、大学の公式サイトの留学生向けの入学条件で確かめます。
- 英語の点数を取るIELTS(アカデミック)やTOEFL iBTなどで、決められた点数が必要です。学部や課程によって条件が違い、教員養成などは一般より高い点数を求められます。必ず、志望する課程の条件を公式サイトで確かめましょう。
- オンラインで出願する大学の出願システムでアカウントを作り、出願書類を入力して提出します。大学の職員が書類と条件を確かめ、課程ごとの審査を経て、結果が届きます。
英語の点数が足りない人や、大学の授業に備えて英語を鍛えたい人のために、大学には付属のEnglish Language Centreがあります。一般英語、IELTS対策のほか、オタゴ大学への進学を目指す人向けのコース(English for Otago)も用意されています。学費や奨学金は学部や年度で変わるので、出願の前に公式サイトで最新の金額を確かめてください。
入学の条件や英語の点数、学費は変わることがあります。この記事では具体的な点数や金額を書かず、大学の公式サイトで確かめていただくようにしています。
卒業生の体験 悔しさから大学進学を決めた
ここからは、日本の高校を卒業してオタゴ大学の教員養成課程(Teachers College)に進み、3年間で卒業した先輩の体験です。
きっかけは、高校2年の夏休みに南島へ1か月の短期留学をしたことでした。英語がまったく分からず、思うように話せずに本当に悔しい思いをして、ニュージーランドの大学に進みたいと考えるようになりました。日本の大学に進むと信じていた両親、特に遠い国に行くことに反対する父親を説得するのは大変だったそうです。
どうすれば進学できるのか分からず、インターネットや本で調べるところから始めました。まずは英語の点数が必要だと知り、高校3年の半分以上は英会話教室に通いました。卒業後はニュージーランドに渡り、南島の最南端の町インバーカーギルの語学学校へ。少しでも早く入学に必要な点数を取ろうと必死に勉強し、3か月後の最初のテストで、ぎりぎり大学入学に必要な点数を取りました。
ニュージーランドの大学は、日本と違って年の初めに新しい学年が始まります。先輩は高校を卒業した翌年の1月にダニーデンへ移り、大学生活を始めました。
卒業生の体験 入学の点数だけではついていけない
授業が始まると、本当に大変でした。「海外の大学は入るのは簡単でも、卒業するのが大変」とよく言われますが、そのとおりだったそうです。入学に必要な英語の点数を取っても、その力だけでは授業についていくのはとても難しかったといいます。
毎日いくつもの授業があり、どれも教科書を数十ページ読んで、議論をする形式です。教員養成の課程なので、実際の学校の問題点について話し合うことが多く、現地の学校教育を受けていない先輩には、そもそも何が問題なのかが分かりません。留学生はほとんどおらず、正規の日本人留学生は先輩1人だけでした。
今なら、日本の教育の様子を話せばよかったと思えます。でも当時は、子どもに読み聞かせる絵本すら選べない、どんな教育の環境かも分からない、というだけで自信をなくして途方に暮れていました。入学してすぐから何度も教育実習があり、自分の英語が子どもに伝わるのか、ほかの実習生と同じようにできるのか、不安を誰とも分かち合えずに、毎日1人で落ち込んでいました。大学生活でいちばん苦しかった時期です。
オタゴ大学の教員養成課程を卒業した先輩
授業のないときは図書館や部屋で、とにかく勉強。ときには日本語の問題集も参考にして、教材研究やテスト勉強をしました。1年目が終わるころには少しずつ話せる友達ができ、周りも先輩のことを理解して、分からないことを助けてくれるようになりました。
2年生になると、興味に合わせて授業を選べるようになり、教科の教え方の授業が増えて楽しめるようになりました。小学校や中学校での実習も勝手が分かってきて、学校や担当の先生にも恵まれ、教育の楽しさと大切さを実習でたくさん学んだそうです。
| 項目 | 先輩が経験した教員養成課程(当時) |
|---|---|
| 期間 | 3年。ニュージーランドの多くの大学・学部は3年で卒業 |
| 1年目 | 教育の考え方についての授業が中心。教科書を読んで議論。入学直後から教育実習が何度もある |
| 2年目 | 興味に応じて授業を選べる。教科の教え方の授業が増える |
| 3年目 | 毎週火曜日に決まった学校の決まったクラスへ行き、担任の代わりに仕事をする。その合間に、同じクラスで1か月の教育実習を数回 |
| 成績 | 課題も試験も厳しく、基準に届かなければ容赦なく落とされる。先輩も2年生で理科の教え方の授業を落とし、再履修した |
英語のハンディがあるぶん、現地の学生より時間をかけて勉強する必要がありましたが、留学生へのサポートや、学内の保健・カウンセリングのサービスがとても充実していて、先輩も何度かお世話になったそうです。1年生のころは遊んでいた同級生も、学年が上がると図書館で会うことが多くなりました。
同級生の年齢はさまざま
先輩がいちばん驚き、良かったと話すのは、高校を卒業したばかりの学生だけでなく、キャリアを変えるために学び直す、さまざまな年齢や事情の人が多かったことです。親と同じくらいの年齢の同級生もいて、その人たちとの関わりから多くのことを学びました。
卒業生の体験 寮とフラット、ダニーデンの暮らし

教育学部はダニーデンの中心から少し外れた場所にあり、オタゴ湾が近く、いつも海のにおいを感じながら通ったそうです。ただ、坂の上のフラットは冬が大変でした。ダニーデンでは年に数回、数センチの雪が降りますが、冬用のタイヤを使う人は少なく、雪や凍結で街は大混乱になります。
雪が降って何日たっても溶けず、朝の坂がつるつるで、あちこちで学生が立ち往生していました。私も手すりにつかまり、いつもの倍の時間をかけて登校しました。帰りも坂の途中で登れなくなって止まっていると、後ろから来た年配の女性が、靴に付けていた滑り止めを片方外して貸してくれ、フラットまで一緒に登ってくれたんです。ニュージーランドの人は、知らない人でも困っていれば手を差し伸べてくれます。
オタゴ大学の卒業生
ある年の夏休み(日本のクリスマスと正月のころ)には帰国せず、初めての一人旅で1週間ほどダニーデンの周りをめぐりました。農業研修に来ていたドイツの女性と、進路の決め方の違いを英語で語り合ったり、旅行中のヨーロッパの家族に2日間車で観光に連れて行ってもらったり。1泊の予定だった宿では「クリスマスに予定がないなら」と数日間無料で泊めてもらい、地域のクリスマスの集いに一緒に参加し、牧羊の手伝いもさせてもらいました。この旅が自分を大きく成長させてくれたと話しています。
卒業生から、これから留学する人へ
先輩は、ダニーデンは学生の町で治安も良く、日本食やアジアの食べ物が手に入る店も増えたと話しています。ニュージーランドのほかの大学は「ニュージーランド地域別の大学の情報」で紹介しています。
大学付属の語学学校で半年 社会人の語学留学
オタゴ大学の English Language Centre は、大学進学を目指す人だけの学校ではありません。歯科技工士として2年働いたあと、貯めたお金で半年の語学留学をした先輩の体験です。
| 項目 | 先輩の語学留学 |
|---|---|
| 期間 | 4月から9月の終わりまでの半年 |
| コース | 一般英語(General course)の初級クラス。1クラス10〜15人 |
| 住まい | 学校の紹介で、町の中心からバスで10分ほどの住宅地にホームステイ(ご年配の女性と、マレーシアからの留学生) |
| 選んだ理由 | 友人がダニーデンの大学に通っていて、前に2週間訪れたことがあった。大学の図書館なども使える |
午前中はリーディングやライティング、英会話、午後は学校の外でのアクティビティやロールプレイなど、実践的な授業が中心でした。宿題が毎日出るので、授業が終わる3時過ぎからは大学の図書館で宿題と復習をするのが日課に。クラスメイトは高校を卒業したばかりの若い留学生が多く、東南アジアや中東の学生もたくさんいました。
いちばん驚いたのは、同じ初級クラスの仲間が、片言の英語でも身振り手振りで自分の国の文化や意見を一生懸命に発表することでした。先輩は最初、英語が話せないのが恥ずかしく、黙って聞いているだけ。それでも先生が発表の機会をくれたり、グループの仲間が英語を一生懸命聞いてくれたりするうちに、少しずつ発言できるようになりました。
少しずつ発表できるようになって、完璧な英語でなくても、お互いに伝わればいいんだと気づきました。言葉も文化も宗教も違う友達と、ジェスチャーや写真で自分の国のことを伝え合えたのは、本当に貴重な経験です。
最初は自分でランチを買うのも不安で、バスを乗り間違えても周りに聞けなかったそうです。もともと社交的ではなく、クラスにとけ込むにも時間がかかりましたが、相談できる先生がいて、授業の先生も毎回声をかけてくれました。留学の終わりには、ランゲージエクスチェンジの相手にすすめられたセントラルオタゴを友人と旅し、入場券を英語で買い、ワイナリーでのテイスティングも英語でできるまでに。
半年で英語が急にネイティブのようになったわけではありません。それでも「英語を少し学んだことで、ワーキングホリデーにも挑戦したいと思うようになった。憧れや夢だったことが、1歩踏み出すことで実現できるものに変わる」と話しています。ワーホリでダニーデンを拠点にした先輩の話は「ニュージーランドのワーホリ体験談」で紹介しています。
English Language Centre の一般英語は、今も通年で開講しています。コースの期間や学費は変わることがあるので、大学の公式ページで確かめてください。
オタゴ大学留学 よくある質問
オタゴ大学に入るには、どのくらいの英語力が必要ですか?
IELTSやTOEFL iBTなどで、学部や課程ごとに決められた点数が必要です。教員養成などは一般より高い点数を求められます。条件は変わることがあるので、志望する課程の条件を大学の公式サイトで確かめましょう。点数が足りない人向けに、大学付属の英語コースもあります。
オタゴ大学は何年で卒業できますか?
多くの学部は3年です。この記事の先輩も、教員養成課程を3年で卒業しました。学部や課程によって期間は違うので、公式サイトで確かめてください。
入学に必要な点数を取れば、授業についていけますか?
点数を取っても、最初は大変だと考えておきましょう。先輩は入学に必要な点数を取って入学しましたが、毎日数十ページの教科書を読んで議論する授業に、最初はついていけませんでした。入学前にできるだけ英語力を伸ばしておくと安心です。
オタゴ大学の学生はどこに住んでいますか?
1年目は大学の寮、2年目からはフラットをシェアする人が多いです。この記事の先輩も、1年目は現地の学生と寮で暮らし、2年目からは大学の近くのフラットに移りました。学生の多くがキャンパスのすぐ近くに住んでいます。
大学に進学しなくても、オタゴ大学の語学学校に通えますか?
通えます。大学付属の English Language Centre では、進学しない人も一般英語を学べます。社会人が半年だけ英語を学びに来ることもあり、大学の図書館などを使える場合もあります。コースや学費は公式サイトで確かめてください。
この記事は、留学ドットコムのライター美沙季さんのオタゴ大学の紹介(2023年)と、ニュージーランド留学ドットコムに寄せられた卒業生と語学留学生の体験記(2016年)をもとにまとめました。課程の内容は先輩が在籍していた当時のものです。
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