語学学校は、人気の都市なら数十校もあります。どの学校もホームページでは良いところを並べていて、違いがわかりにくいものです。
この記事では、トロント・ニューヨーク・ロサンゼルス・サンディエゴ・カルガリーなどで実際に学校を選び、通った筆者たちと、留学ドットコムのスタッフの経験から、語学学校を選ぶときに見るところと、失敗しやすい選び方をまとめました。
この記事の要点
- 最初に「留学のあと、どうなっていたいか」を決める。目的が決まれば、見るところが決まる
- 国籍の割合は学校全体の数字。自分のクラスと、通う時期では大きく変わる
- 安すぎる学校は、出席の管理が緩い・突然閉校するなどのおそれ。値段の理由を確かめる
最初に「何のために行くか」を決める
語学学校の授業は、文法・会話・試験対策など、どこもある程度は似ています。違いが出るのは、どんなコースに力を入れているか、どんな生徒が集まっているか、どんな街にあるかです。だから、自分が何を求めているかが決まっていないと、比べようがありません。
高校生のときのバンクーバー留学は、刺激が多くて楽しい思い出になりました。でも、英語がどれだけ伸びたかで考えると、足りないところが多かったと思います。2回目のサンディエゴでは「英会話を伸ばす」を一番に決めて学校を探し、12人のクラスで日本人は私を含めて2人。授業でもサークルでも、自分の意見を言えるようになりました。
宮本さん(バンクーバーとサンディエゴに留学)
次の3つを書き出してみると、学校に求めるものがはっきりします。
- 留学のあと、どうなりたいか仕事で英語を使う、海外の大学に進む、ワーホリで現地の仕事に就く、など
- 英語の何を伸ばしたいか話す力、聞く力、TOEIC や IELTS の点数、仕事で使う英語、など
- どんな毎日を送りたいか放課後も友達と出かけたい、静かな街で勉強に集中したい、など
候補を表にして比べる
行きたい都市が決まったら、その街の語学学校を一覧にして、条件に合わないものを消していきます。表には、学校の名前とホームページ、授業料・滞在費・保険・航空券・交通費、国籍の割合、クラスの人数などを並べると比べやすくなります。
授業料だけでなく、滞在費や保険まで入れて計算しておくと、「いくら貯めればいいか」がはっきりします。親にお金を出してもらうときも、具体的な金額を出せると、本気で調べたことが伝わります。
渡鍋さん(ロサンゼルスに留学)
語学学校を選ぶ7つのチェックポイント
候補を絞るときに見るところです。全部を満たす学校はないので、自分にとって譲れないものを2〜3個決めておくと迷いません。
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| コース | 会話・試験対策・ビジネス英語など、目的に合うコースがあるか。授業時間とクラス分けの細かさ |
| 立地 | 街の中心か、郊外か。放課後に出かけやすいか、静かに勉強できるか |
| 国籍の割合 | 学校全体の数字だけでなく、自分のレベルのクラスと、通う時期の様子 |
| クラスの人数 | 1クラスの人数と、学校の大きさ。少ないほど話す番が回ってくる |
| 日本人スタッフ | 困ったときに日本語で相談できる人がいるか |
| アクティビティ | 放課後や週末の行事。クラスの外で友達をつくる場になる |
| 費用 | 授業料の中身と、長く通うときの割引。安すぎるなら、その理由 |
コース:目的に合うものがあるか
学校ごとの違いがいちばん出るところです。少人数のクラスが中心の学校、会話に力を入れている学校、TOEIC や IELTS などの試験対策に強い学校があります。
ワーホリだったので、いずれ英語で仕事をする必要がありました。話せないと現地の仕事に就きにくいので、語学学校の期間は会話に力を入れている学校を選びました。
吉野さん(トロントでワーホリ)
大学が運営する付属の語学学校は、授業の質が高く、大学の図書館やジムを使えるところもあります。そのぶん授業料は高めです。働きながら通いたいワーホリの方は、午後や夜のコースがある学校も候補になります。
国籍の割合:学校全体の数字だけで判断しない
多くの学校が生徒の国籍の割合を公開していますが、それは学校全体の数字です。上のレベルのクラスはヨーロッパからの生徒が多く、下のレベルは日本人を含むアジアの生徒が集まりやすい、という傾向があります。夏休みなど日本の長い休みには、短期で来る日本人が増えます。
日本人が少ないと書かれた学校でも、初めての留学で入ったクラスは15人中5人が日本人でした。割合はあくまで参考です。
佐藤さん(留学ドットコムのスタッフ)
カナダやオーストラリアのような人気の国で、日本人がまったくいない学校はほぼありません。それに、国籍の割合は季節で変わります。自分が通う時期の割合を、留学エージェントに聞いて確かめるのがおすすめです。
吉野さん(トロントでワーホリ)
日本人の少なさだけを追いかけるのも考えものです。大きな街で極端に日本人が少ない学校は、日本向けの案内に力を入れていないだけでなく、単に人気がない場合もあります。また、日本人以外も特定の国に偏っていない学校のほうが、いろいろな国のなまりに慣れられ、聞く力の練習になります。
クラスの人数と学校の大きさ
1クラスの人数が多いほど、自分が話す番は減ります。授業も、全員に合わせて進むので遅くなりがちです。秋の新学期や夏は生徒が多く、冬は減るなど、時期でも変わります。
カルガリーの小さな学校に通いました。どのクラスも10人ほどで、一般英語のコースは私を入れて3〜4人。わからないところはすぐに質問できました。給湯室でお弁当を温めていたら、カップラーメンにお湯を入れに来た別のクラスの学生と話し込んで、そのまま友達になったこともあります。
カルガリーの小規模校の卒業生
小さな学校は先生やスタッフとの距離が近く、相談もしやすい一方で、経営の体力が小さく、閉校のおそれもあります。スタッフの佐藤さんがカナダで通った小さな学校も、今はもうありません。大きな学校はレベル分けが細かく安心ですが、自分から動かないと友達の輪が広がりにくい面もあります。
日本人スタッフ:最初の数週間の助けになる
着いてすぐは、わからないことが山ほどありました。学校のしくみ、シェアハウスの探し方、カナダの銀行の使い方。英語がほとんど話せなかったので、日本人のカウンセラーに日本語で聞けたおかげで、留学生活をすんなり始められました。英語で相談するのは、話せるようになってからで十分です。
吉野さん(トロントでワーホリ)
ただし、日本人スタッフは数年で入れ替わることが多く、留学ドットコムにも各校から入退社の案内が毎月何件も届きます。ネットの「〇〇さんが親身だった」という書き込みを見て決めると、入学したときにはその人がいない、ということもあります。特定のスタッフではなく、日本語で相談できる体制があるかを確かめましょう。
アクティビティ:クラスの外で友達をつくる場
語学学校はレベルでクラスが分かれるので、英語を話せないうちは、上のクラスの生徒と知り合う機会がほとんどありません。放課後や週末のアクティビティは、その壁を越える場になります。
最初は英語がまったく話せず、ヨーロッパや南米の友達は一人もいませんでした。韓国人の友達に誘われて、学校が毎週水曜に配っていたクラブの無料券で初めてクラブへ。そこに同じ学校のヨーロッパや南米の生徒が来ていて、一気に友達が広がりました。勉強だけだった毎日が、そこから一変しました。
吉野さん(トロントでワーホリ)

ロサンゼルスに留学した渡鍋さんの学校では、平日はベニスビーチやサンタモニカへ、週末はラスベガスやサンフランシスコへ行くアクティビティがありました。無料のものもあれば、交通費やツアー代がかかるものもあります。どんな行事があるかは、学校のホームページで見られます。
費用:安すぎる学校には理由がある
授業料の高さと質は、必ずしも比例しません。ただ、相場より極端に安い学校には、安い理由があることが多いものです。ニューヨークで3つの学校に通った沼尾さんは、次のような点に気をつけるよう話しています。
私の学校では、遅刻や欠席が多い友達に、先生が「ビザを取り上げたくない、お願いだから来て」と何度も真剣に話していました。一方、3か月で授業料が20万円もかからない学校に通っていた友達は、登録している生徒より実際に来る生徒のほうがずっと少なく、友達ができないと嘆いていました。
沼尾さん(ニューヨークに10か月留学)
学校が突然閉校したときに何が起きたかは、VIVA College の倒産から学ぶ学校選びで紹介しています。
実際の授業料はいくらだった?
筆者たちが実際に払った授業料です。2019〜2020年ごろの金額で、今は為替の影響でこれより高くなっています。目安としてご覧ください。
| 都市・期間 | 授業料 |
|---|---|
| トロント 4か月 | 約60万円(吉野さん・会話に力を入れている学校) |
| NY 6か月 | 約100万円(沼尾さん・1校目) |
| NY 4週間 | 約18万円(沼尾さん・2校目) |
| NY 10週間 | 約80万円(沼尾さん・3校目) |
※授業料だけの金額です。滞在費・保険・航空券は別にかかります。
ニューヨークは授業料が高い街で、沼尾さんの10か月分は合わせて約200万円になりました。同じ学校に長く通うほど週あたりの授業料は安くなる傾向があり、授業時間の短いコースも割安です。予算が合わないときは、国や都市を変えるのも一つの方法です。
失敗しやすい学校の選び方
留学ドットコムのスタッフが、これまでの相談で見てきた「あとで後悔しやすい選び方」です。
- 人に勧められた学校にする友達や知り合いが良かった学校が、自分にも合うとは限りません。目的やレベルが違えば、合う学校も違います。
- クチコミだけで決める語学学校は、何校も通って比べられるものではありません。多く通った人でも3〜5校ほどで、クチコミは一人の経験です。
- 授業料の安さだけで決める上で紹介したとおり、安さの理由を確かめずに決めると、通い始めてから困ることがあります。
- ホームページだけで決める毎週のように生徒が入れ替わり、学校の様子は日々変わります。ホームページは基本の情報を知るために使い、最新の様子は人に聞きましょう。
一人で調べきれないときは
候補の学校を自分で比べるのは、思った以上に時間がかかります。説明会や留学フェアで学校の担当者に直接話を聞く、留学した人に聞く、留学エージェントに相談するなど、いくつかの方法で情報を集めるのがおすすめです。
留学ドットコムに相談して、たくさんある学校の中から、希望に合う4校まで絞ってもらいました。学校探しにエネルギーを使わずに済んだぶん、出発前の英語の勉強に時間を使えました。ただ、最後に決めるのは自分です。「学校を卒業したとき、どうなっていたいか」を、自分で掘り下げておくことがいちばん大切だと思います。
吉野さん(トロントでワーホリ)
語学学校の選び方 よくある質問
語学学校は何を基準に選べばいいですか?
まず留学の目的を決め、それに合うコースがあるかを見ます。そのうえで、立地・国籍の割合・クラスの人数・日本人スタッフ・アクティビティ・費用のうち、自分にとって譲れないものを2〜3個決めて比べると迷いません。
日本人が少ない学校を選んだほうがいいですか?
割合だけで決めないほうが安心です。公開されている割合は学校全体の数字で、自分のクラスや通う時期で大きく変わります。人気の国では日本人がまったくいない学校はほぼなく、極端に少ない学校は日本語で相談できる人がいないこともあります。
授業料が安い語学学校はやめたほうがいいですか?
安さの理由を確かめてから決めましょう。相場より極端に安い学校には、出席の管理が緩い、生徒が集まらず突然閉校する、閉校したときに返金がない、といったおそれがあります。安いこと自体が悪いのではなく、理由がわかれば判断できます。
小さな学校と大きな学校、どちらがいいですか?
性格と目的しだいです。小さな学校はクラスの人数が少なく、先生やスタッフとの距離が近い一方、経営の体力が小さいことも。大きな学校はレベル分けが細かく、いろいろな国の生徒がいますが、自分から動かないと友達が広がりにくい面があります。
この記事は、コラムの筆者(吉野さん・沼尾さん・渡鍋さん・宮本さんほか)の留学経験と、留学ドットコムのスタッフ(水野・佐藤・田中・道家)の記事をもとにまとめました。
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