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【乳児、幼児の英語教育】赤ちゃんの英語耳、バイリンガル教育をする時に知っておくべき注意点とデメリット

公開:2018/11/22 著者:中山 大輔 2740 Views

昨今、少子化が進む中で英語教育だけではなく、教育全般に対する注目度が上がっていますので、最近ではいろんな教材や教育サービスが出てきていますね!

特に幼児教育の教材や教育サービスの宣伝文句では、「低年齢のうちから英語に触れさせないダメ!だから今すぐこの教材(教育サービス)を利用しましょう!」というような話も良く聞きます。

こうした低年齢のうちから英語に触れることのメリットはいろんな所で目にします。

 

一方で、その時の注意点やデメリットはほとんど目にしませんよね?

 

このコラムでは、赤ちゃんの英語耳、バイリンガル教育をする時に知っておくべき注意点とデメリットを解説していきます。

英語教育は早ければ早い方が良い!?

「英語教育は早ければ早いほど良い」そんな言葉を耳にしたお母さん、お父さんもきっと多いかと思います。

 

・赤ちゃんがお腹にいるうちから、英語の胎教をしよう
・赤ちゃんが〇歳になる前にできるだけ英語のシャワーを浴びせよう
・小さいうちから英語を学べば、英語がしゃべれるようになる!?

 

いろんなデータや主張がありますが…

実は「英語教育は早ければ早いほど良い。」というのは、ある一面で正しくもあり、間違いでもあったりします。

少し学術的な話にもなってしまいますが、言語聴覚の専門家であるパトリシア K. クール 博士はこんな事を研究で発表しています。

 

※パトリシア K. クール 博士
→ワシントン大学の学習脳科学研究所の所長で、クリントン大統領夫妻主催の会議やブッシュ大統領夫妻主催の会議で乳幼児の学習や脳、認知発達について講演をする言語能力研究者。

 

・誕生時の赤ちゃんは世界中のあらゆる言語を習得できる能力がある
・世界の言語に800種類ほどある「音」の種類を全て区別、聞き分けられる
・しかし、その音を全て聞き分けられるすごい能力も「生後6ヶ月まで」
・「生後6ヶ月」経つと、その「全ての音を聞き分けられる能力」が次第になくなる
・「生後6ヶ月~1年」には「母国語の細かな音や違いを区別できるようになる」
・一方、非母国語に対しては「細かな音の違いは区別できなくなり、全ての音を聞き分けられる能力もなくなっていく」
・生後7ヶ月以降は「母国語で似たような音を聞いたときに、これは違う音だな」としっかりと母国語での音を区別できる子供は、その後、母国語の発達が早い
・一方で、生後7ヶ月以降でも「母国語、非母国語(外国語)の両方で似たような音を聞いたときに、非母国語(外国語)でも、これは違った音だぞ!」と”依然として両方の言語をきちんと区別できる子供”は、その後、母国語の発達が遅い

 

特に面白いのが、我々大人がうらやましいと思う「赤ちゃんのものすごい能力」=「全ての音を聞き分けられる能力」と母国語の発達スピードの関係です。

「母国語、非母国語にかかわらず全ての音を聞き分けられる能力」が生後7ヶ月以降も残っている赤ちゃんの方が母国語の言語成長が遅いという点ですね。

「全ての音を聞き分けられる能力」があれば、きっと我々大人も英語の学習がずっと簡単になるはずですから…大人にとっては喉から手が出るほど欲しいものすごい能力です。

 

しかし、脳はどうしてこうした素晴らしい能力をなくしてしまうのでしょうか?

脳が7ヶ月を境に「母国語に対して”だけ”細かな区別ができる」ようなるのには理由があります。

これは、脳がそもそも「二つの言語を両方併行して覚える」という事は苦手で、二つの言語を同時に覚えるという事が自然界では不自然なことであり、非効率だからです。

 

つまり、赤ちゃんの脳は「生まれて6ヶ月の間に、自分の母国語、言語はこれなんだな!」と判断をします。

そして、「非母国語である言語はバッサリ切り捨てて、自分の母国語をまずは覚えるぞ!」と、一つの言語に集中する事で1日でも早く言語を覚えようとするんですね。

脳は「非母国語(外国語)に対しては、全然区別ができなくなっても問題ない。」、「母国語に対してだけ細かな区別ができれば問題ない。」という切り替えや切り捨てをすごく合理的に行っているのです。

 

そのため、脳もあえて「異なる言語を同時併行して覚えるような大変で不自然な方法」は選択しません。

脳も「今後生きていくために言葉(言語)は必須!」、「1日でも早く言葉(言語)を学んで、身に付けなきゃ!」と必死なんですね。

まとめると、以下の表のような感じになります。

 

 

 

早期英語教育にはタイミングとバランスが重要

上記のデータを見ると、「とにかく英語教育は早ければ早いほど良い。」、「小さい時からどんどん英語漬けにすれば良い。」というのは間違いだというのが分かると思います。

脳は「2つの異なる言語をバランス良く併行して身に付ける」という事は苦手で、そもそも想定をしていません。

そのため、あまりに早い英語教育や過度な英語漬けは、脳が「自分の母国語は何かをしっかり決めて一つだけの言語を集中的に学びたい!」と思っているのに関わらず、無理矢理2言語を教えているという状況になります。

 

こうしたあまりにも早く、過度な英語漬けといった2言語での教育は脳にとって不自然な事なので、脳や子供に対してストレスを与える事に繋がってしまいます。

つまり、早期英語教育には、何より2つの言語学習のバランスを取っていくのが重要となります!もしこのバランスが大きく崩れてしまうと、ダブルリミテッドという状態になりかねないからです。

このダブルリミテッドというのは、「どちらの言語発達も一定レベル以下(未発達)で、どちらの言語力も通常より低くなり、どちらの言語もうまく使えない中途半端な状態」を指します。

 

思考をする際に使う道具(第一言語=母国語)が不十分だと、論理的な思考ができずに感覚だけで話したり、文章を作ったりする時などにも普通の人よりも大変な時間が掛かったりしてしまうのです。

 

具体的には小学校や中学校であっても、喋る言葉が幼稚園レベルというような状況です…。

しかし、安心してください!実情としては、日本に住んでいる限り母国語(第一言語)が日本語になるのはほぼ間違いありません。

 

日本に住んでいる方々は、「ダブルリミテッド」という言葉を耳にしたり、心配したりする事はほぼないのです。

 

一方で、駐在員や移民などで海外に家族全員で住んでいる場合は、こうした心配をされる方が多いというのが実情です。

日本に住んでいる我々からすると「英語と日本語の両方の環境があれば、日本語と英語が使えるバイリンガルに簡単になるから良いよね!」と思いがちです。

でも、実際は日本語と英語のバランスが大きく崩れると、どちらの言語も発達せず、不自由にしか扱えなくなるという危険性もあるのです。

 

脳の役割としては、やはり母国語(日本語)あっての第二カ国語(英語)なんですね。

 

まとめ

改めて情報をまとめるとこんな風になると思います。

 

・とにかく早い英語教育がベストというわけではない
・母国語が定まってから、母国語の能力が発達していく
・母国語が定まっていないと、母国語の発達が遅くなってしまう
・バランスを欠いた言語教育は、最悪ダブルリミテッドの恐れもある

 

その上で、「早い英語教育は全くもって無駄」というわけではありません。

まずは日本語でしっかり赤ちゃんとコミュニケーションを取りつつも、楽しみながら英語を題材にして少しずつ遊べると良いですよね。

やはり小さい時に英語へ触れる体験がまったく0回というよりは、英語に触れる体験は少しでもあった方が良いと思います。

 

そうした体験があれば、子供が「英語は面白い!」、「自分は英語が好きだ!」と思ってくれる確率は上がっていくはずだからです。(いくら英語に触れる機会を提供しても好きにならないお子さんもいるかもしれませんが…。)

子供が「英語は面白い!自分は英語が好きだ!」と思ってくれたら、あとは子供の背中を押すだけですので、親としてはだいぶ楽ですよね!

また、その他の子供の英語教育や親子留学に関わる関連コラムもよろしければチェックしてみてください!

 

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