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多国籍環境の学校で英語力は変わるかを検証

公開:2019/04/05 著者:松尾 怜奈 883 Views

語学学校を調べていると、「インターナショナルな環境!」や「世界何十カ国からの留学生が集まります!」などと多国籍であることが強くアピールしている学校を見かけます。

皆さんが海外留学される目的が国際交流なら、確かに多国籍な環境は恵まれた学習環境である事が一目瞭然ですね。

 

しかし、英語力向上が一番の方にとっては、多国籍環境は本当に良い環境だと言えるのでしょうか?

 

私は自分自身の留学経験から、多国籍環境の語学学校は、英会話初心者や留学初期段階の方にとって英語力を伸ばせる理想的な環境だと思っています。

このコラムでは、オーストラリアに留学経験を持つ私が多国籍な環境が、私自身の英語力にどう影響を与えたのかまとめてみました。

私がオーストラリア留学した時の環境

まず、私が留学した時の環境について記しておこうと思います。私は9カ月間のオーストラリアの内、半分を語学学校で、半分を現地大学で勉強をしました。

語学学校は紛れもない多国籍な環境で、学校全体で10~20名ほどの生徒しかいない小さな学校でした。

生徒の具体的な国籍分布ですが、アジアの国々・中東・南米・ヨーロッパなどから幅広く世界各国の学生が集まっていました。

 

それと比較すると大学のクラス環境はそこまで多国籍な環境ではありませんでした。大学は基本的に現地オーストラリア人がメインで通う場所なので、海外から来る留学生は少数派と言うこともあり、多国籍な環境にはなり難いのでしょう。

オーストラリア自体が移民の国であるため、皆あらゆる国の血が混ざってますが、生まれた頃からずっとオーストラリアに住む生粋のオーストラリア人ばかりでした。

一方、学生寮では数多くの留学生が住んでいたので、他の英語圏から来た留学生を含む、語学学校とはまた異なるタイプの多国籍環境でした。

 

多様な英語の訛りに慣れることも大事

綺麗な英語を身に付けるためには、ネイティブと過ごすのが一番だと考えがちですが、世界の英語話者の大多数は、実は非ネイティブスピーカーです。

語学学校に学びに来る留学生は、全員が非ネイティブスピーカーになります。そのため、各自が英語を話していても、発音やイントネーション、訛り方など、人によって異なります。

 

まず語学学校での多国籍環境で良かったことは、何と言っても多様な英語訛りや表現に慣れることができる部分です。

 

2012年のHarvard Business Reviewの統計では、世界人口70億人のうち英語を実用レベルで使用できるのは約17.5億人。その内ネイティブスピーカーは僅か3.9億人だそうです。

 

つまり、圧倒的多数の非ネイティブスピーカーを含む17.5億人の英語を理解できることが真の実用的な英語力であり、ネイティブ以外の英語にも対応できなければなりません。

 

実際私も語学学校の先生の英語は聞き取れても、それに対するクラスメイトの発言を聞き取るのには結構苦労しました。特にヨーロッパや南米の学生は強い訛りがあるのにも関わらず、彼らはペラペラと速いスピードで話します。

慣れるまでは、「何も聞き取れない!」と焦ってしまい、会話にならなりませんでした。しかし、時間が経つにつれ、ゆっくり話すよう頼んだり、分からない部分を聞き返したりすることでコミュニケーションが取れるようになりました。

英語のリスニング力や理解力は、少し勉強した程度では身に付きません。しかし、聞き取れない言葉がある中で、何とかしてコミュニケーションをとるという経験を多く積むことによって、会話を繋げるコツや意思疎通のコツをつかめたような気がしました。

 

この会話のコツのようなものは、ネイティブスピーカーと話す時にも使うことができます。

分からない言葉を聞き返し、そこから会話を繋げられるような異文化コミュニケーション能力は大事なスキルです。

一方、英語力は高くても、分からない言葉がある度に会話が止まってしまうような人は、実用的な英語力とは言えません。

 

自分の英語に自信が持てる

学生寮では、英語をネイティブとする方々、またネイティブとほぼ同等レベルの英語力を持つさまざまな国の方々と生活を共にしました。

 

学生寮で多国籍環境が良かった点は、皆が私を一般的な英語話者の一人として扱ってくれたことです。

 

留学中の印象的なエピソードがあります。私が寮のネイティブの友人と会話をしていた時、私の単語の発音を理解してもらえず、数回発音してようやく理解してもらえたことがありました。

その時、私は自分の発音が間違っていたのかと残念な思いで一杯でした。彼女も申し訳なさそうに、「私まだあまり日本語訛りに慣れていなくて…理解してあげられなくてごめんね。」と私に謝ってきました。

当時、非英語圏からの学生が集まる語学学校で、散々発音を矯正されてきた私にとっては衝撃的な言葉でした。

 

彼女たちは、私を「英語ができない外国人」として見るのではなく、オーストラリア英語、アメリカ英語、インド英語とあるように、多様な英語訛りの1つとして私に向き合ってくれて、「理解できないのは聞き手である私の問題」と話してくれました。

 

彼女の言葉を聞いてから、私は一人の英語話者としての自信を得ることができ、より自分の思うことを自分の言葉で語ってみようと思えるようになりました。

 

インターナショナルな環境であればあるほど、人々の多様な英語に対する許容力が高くなり、自分の英語にも自信を深めていくことができます。

 

使える語彙や表現が増える

同じ英語圏であっても、オーストラリア、アメリカ、イギリスとそれぞれ異なる発音やイントネーションを持っています。さらに、英語は国によって、使う英単語や言い回し(表現)が異なります。

 

多国籍環境に身を置くことは、より多くの英単語、言い回しに触れることができます。

 

例えば、オーストラリアにいると毎日のように「How’s it going?」と挨拶されます。一方、アメリカ人の友人からはよく「Hey, what’s up?」と言われます。

オーストラリア人ばかりの環境にいては、この「What’s up」を学ばずに過ごし、いざアメリカ人と話した時に戸惑うでしょう。英語圏の学生でなくても、歴史的背景や文化によって学んできた英語が異なりますので、同じことが言えます。

他にも国によって、意味が完全に変わってしまう単語もあります。世界どこでも通用する英語力を身に付けるには、その国毎に異なるそれぞれの意味を知っているとより自然に会話ができます。

 

TOEIC等のリスニング試験でも、1つの国の言葉で試験が作成されていることは少なく、2つ以上の国の英語表現、敢えて訛りを混ぜて出題していることはご存知でしょうか?

 

TOEICはアメリカ英語圏の試験ですので、元々はTOEICもアメリカ英語の範囲の出題しかされませんでした。しかし、「それでは本当に使える英語力を証明したことにならない。」という理由から、アメリカ人以外をリスニング問題に採用することになりました。

具体的にはアメリカ人、イギリス人、カナダ人、オーストラリア人の4カ国の人が問題を吹き込んでいます。この変更は、2006年5月実施分の試験から開始されています。

 

語学試験でもアメリカ英語やイギリス英語の区別などを無くすように努力しているように、様々な英語表現を対応できることが英語話者にとって重要なのです。

 

多国籍環境はボキャブラリーや会話表現、試験英語という知識的な面においても、私たちの英語力にプラスの影響を与えることになるのです。

つまり、「ネイティブスピーカーの英語が全てではない!」という認識を私たちは持たなければなりません。

 

英語を教え合いコミュニケーションを深める

人はそれぞれ、得意な点、不得意な点が違います。リーディングが得意、スピーキングが得意、色々な人がいます。

 

このような英語の得意・不得意は、教育を受けた出身国の影響を受けることも少なくありません。

 

日本人であれば文法が得意で、スピーキングが苦手です。ヨーロッパ人は話せるけれど、よく聞いてみると文法が間違っていることが多いと言われます。このように出身国によって、得手不得手があるケースが多いのです。

私は、語彙の暗記とプレゼンテーションが得意なので、よくクラスメイトにやり方を伝授していました。一方でディスカッションが苦手なので、ディスカッションが得意な学生と日頃からよく接して、会話に入り込むコツを学びました。

得意ジャンルを教えることは、間違えやすいポイントを再確認できます。逆に友人に「教えて!」と声を掛けられる環境は、授業外で友人とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

 

多国籍環境であれば、それだけ多くの得意・不得意がある可能性が高く、お互いに教え合い、高め合える環境が作りやすくなります。

 

そして、交友関係が深まれば、学校生活も楽しくなり、会話相手が増えればそれだけ会話力も上がります。

 

多国籍環境のデメリットは?

これまで多国籍環境の良いところを挙げてきましたが、デメリットも幾分あります。

 

多様な英語を耳にするあまり、その国の英語が定着しにくいことです。

 

私は殆どの時間を多国籍環境で過ごしていたため、自分自身の英語は、オーストラリア英語ではないと思っています。私の中でオーストラリア英語が最も心地よく、理解し易いのは確かなのですが。

一方で、アメリカ英語が大好きで、留学中ずっとアメリカ人と過ごしていた留学生は、キレイなアメリカ英語を身に付けて帰ってきました。

その国の英語が好きでその国の英語の発音になりたい方は、多国籍環境は最適な条件にはならないのかも知れません。

 

さらに掘り下げると、「カナダ英語は綺麗な発音」という理由でカナダ留学する方がいます。しかし、多国籍環境な学校ではなく、カナダ人ネイティブだらけの環境で過ごさなければ、カナダ英語の発音にはなりません。

 

オーストラリアやニュージーランドは訛りがあると言われる方もいますが、その訛りが自分の発音になるためには、殆どの時間をオーストラリア人またはニュージーランド人ネイティブと過ごさないといけません。

語学学校で勉強している限りは、多国籍環境での英語学習となります。(訛りのある)オーストラリアを選ぼうが(綺麗な)カナダを選ぼうが、自分の発音にはさほど影響を及ぼさないのです。

つまり、英語の発音を気にして留学国を選ぶより、自分の行きたい国を素直に選んだ方が良いでしょう。

 

国籍バランスは求める結果によって変わる

多国籍環境が私たちの英語力に与える影響はさまざまです。私自身は、多国籍環境は私たちの英語力を良い方向に変えてくれる環境であると考えます。

そして実際に、多国籍環境での留学を終えて得た結果には満足しています。

 

英語力とはスムーズかつ正確にコミュニケーションがとれるかどうかであると考えているからです。

 

アメリカ人の英語は分かるけど、中国人やヨーロッパ人の話す英語は分からないだと、本当に使える英語とは言えないからです。

私は海外留学を終えて、どんな人とでも会話をするのが億劫ではなくなり、どんな英語環境でも発言をすることに抵抗を感じなくなりました。

多国籍環境で英語耳も鍛えられたので、TOEICをはじめとする英語能力試験のスコアも格段に伸びました。

 

しかし、もし私が留学前にキレイなアメリカ英語、イギリス英語を身に付けたいと思っていたのであれば、これは必ずしも満足のいく結果ではありませんね。

 

一般論としては、どのような英語力、どのような結果を求めるのかによって、多国籍環境の良し悪しは変わってくると結論付けざるを得ません。

 

英会話初心者や、はじめて留学をする方、スコアを伸ばしたい、単純に会話力を伸ばしたいのであれば、多国籍環境は最適な条件の1つになります。

 

そして、多国籍環境の方が、本来の国際的な英語力を身に着けられる環境と言えるのではないでしょうか。

皆さんも、自分の留学目的や英語力を再確認した上で、自分にとって適切だと感じられるのであれば、「多国籍環境」を学校選びの条件の1つにしてみてはいかがでしょうか?

 

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