留学期間は長い期間で海外滞在した方が良いのか?を検証

近年は航空券が安くなり、また国全体としてグローバル化の意識が高まっていることから、留学を身近なものと考える方も多いかもしれません。
そんな世の中の流れから人気が高まっているのが「短期留学」です。
短期留学は、「気軽に行けて魅力的だけど、果たして数週間の短期留学で英語力は身に着くのか?」という部分もあります。
短期留学と長期留学の間で悩まれる方も多く見受けられます。
長期留学だと大学を休学したり、今勤めている会社を退職しないといけなかったりと、大きな決断を迫られるので、一歩を踏み出す勇気がないと悩んでいる人も多いと思います。
このコラムでは、留学期間に焦点を当てて、どのくらいの期間の留学が適切なのか、検証してみましょう。
短期留学では語学スコアは上がらない?
言語能力とは、語彙数や文法、リスニング等あらゆる能力を合わせた総合力なので、それら全てを上げるにはある程度の時間を要します。
語彙数も少なく文法も曖昧なのに、英会話だけペラペラなんて人はいません。
数週間の留学では、多くの方が期待する大きな成果を上げることは正直難しいです。
例えば、留学後に就活で英語力をアピールしたいと考える場合、どうしてもTOEICのスコアが必要になります。留学した成果をアピールしたいのであれば、最低でもTOEIC700点。英語を使う職場で活躍したいなら、800点以上を目指したいところです。
参考までに、TOEICの点数を上げるにはどのくらいの期間が必要なのか見てみましょう。
以下の表は、留学ドットコムで参考までにお伝えしている、語学留学をした際の一般的な英語習熟度の目安です。
留学期間による英語力アップの目安
フィリピン留学 学習時間: 10時間/日 |
欧米留学 学習時間: 5時間/日 |
|
200~250点 | 1カ月 | 2カ月 |
250~300点 | 2カ月 | 4カ月 |
300~350点 | 3カ月 | 6カ月 |
350~400点 | 4カ月 | 8カ月 |
400~450点 | 5カ月 | 10カ月 |
450~500点 | 6カ月 | 12カ月 |
500~550点 | 7カ月 | 14カ月 |
550~600点 | 8カ月 | 16カ月 |
600~650点 | 9カ月 | 18カ月 |
650~700点 | 10カ月 | 20カ月 |
750~800点 | 11カ月 | 22カ月 |
800点~ | 12カ月 | 24カ月 |
※上記は留学スタート時点で、英語力に全く自信がない人を想定しています。
例えば、現在の英語力がTOEIC500点の方が就活で理想的とされる800点以上のスコアまで上げるのに、フィリピン留学では半年、欧米留学では丸1年掛かる計算になります。
これはあくまで語学学校で受験勉強のように勉強することを踏まえた目安です。つまり、短期留学で旅行も楽しむ留学、ワーキングホリデーでアルバイトと両立しながらの留学では、TOEICスコアはさらに伸びにくくなります。
上記のスコアの伸びるスピードは、「それなりに努力したことを前提とした最低ラインの成果」のようなので、頑張ればもっと早い期間で到達することは十分可能とのことです。(留学ドットコムのスタッフ談)
つまり、語学力という面で成果を出すには、最低でも数カ月は勉強する必要があります。
TOEIC受験者の平均点を知っておこう!
今までTOEICに興味が無かった人にとっては、点数で言われてもチンプンカンプンだと思います。TOEICの平均点はインターネットで簡単に調べられます。
年齢や立場の違いによるTOEIC平均点は以下の通りです。留学前には一度受験してみましょう。この平均レベルからどの程度乖離しているのか知ることで、客観的に自分の立ち位置とスタートラインが分かるのでオススメです。
公開テスト | IPテスト | |
高校生の平均点 | 514点 | 410点 |
大学生の平均点 | 568点 | 443点 |
社会人の平均点 | 607点 | 484点 |
全受験者の平均点 | 585点 | 462点 |
出典: TOEIC® Program DATA&ANALYSIS 2016 – 2015年度 受験者数と平均スコア
TOEICには、希望者だけが個人受験する「公開テスト」と公開テストは個人受験、学校や職場で団体受験する「IPテスト」の2種類があります。
公開テストはTOEICに興味のある方が受験するので平均点は高いです。一方、IPテストは団体受験なのでTOEICにさほど興味のない方も受験しているため、平均点は100点以上低くなることが分かります。
試験の難易度は同じですが、公式にスコア認定されるのは「公開テスト」だけなので、IPテストのスコアは参考値として捉えておくと良さそうです。
夢の中でも英語になるには半年以上かかる
就職活動のアピールための留学ではなく、世界中に友人を作り、誰とでも話せるコミュニケーション能力を得て視野を広げたい。そんな理由で留学を考える方も多くいらっしゃいますね。私もそう考え、留学した人の1人です。
ただ、英語のコミュニケーション力というのは、どのくらい伸びたのか表すのが大変難しい能力です。そのため、目に見える成果を求める方にとっては、留学後に「この留学は果たして意味があったのだろうか…。」と後悔しがちになります。
オーストラリアで9カ月間の留学経験した私の感覚では、渡航から1~2カ月経って現地生活に慣れて友人ができ、3カ月くらい経ってどうにかその友人と会話を楽しめるようになった感じです。
6カ月目くらいに友人が夢の中に現れ、夢の中でも英語を使うようになりました。
私の中では、この「夢が中でも英語になる状況」を留学中のスピーキング力の1つの目標としていました。
寝ている間でさえ英語が使えるというのは、英語で物事を理解し、英語で考えることが出来ている証だと考えていたからです。
この6カ月目あたりから徐々に、自分の気持ちを会話に乗せられるようになり、友人との会話も深まっていきました。
実際に英語が自分の言語に感じられるようになったのは、留学生活の最後の1カ月だったと今振り返ってみて思います。
会話をスムーズに行うためには、もちろん語彙力や文法の勉強が不可欠です。さらに、その文化圏の考え方や英語話者の頭の使い方ができることも大変重要で、それには最低でも半年~1年かかると見込んだ方が良いのかも知れません。
私の場合は、簡単な英会話ができる状態で渡航しました。上記で解説した大学生の平均点である568点前後でしょうか。大体600点くらいあると、簡単な日常会話ができるレベルとされています。
留学前に英語を話す機会が無い方や、文法や語彙という基礎固めがまず必要な方、ビジネスで使えるレベルの高度なコミュニケーション能力を得たい方にとっては、1年以上の日数が必要になるでしょう。
留学期間は単純に長ければ良いのか?
これまで、数週間の短期留学では英語力向上、コミュニケーション能力向上等の大きな成果を出すのは難しいと説明しました。
しかし、必ずしも留学期間が長ければ、良い成果が見込めるワケでもありません。
ただ海外生活しているだけでは、日本で生活しているのとあまり違いはないからです。例えば、オーストラリアではワーホリが人気ですが、ただ現地でアルバイトして生活するだけでは英語力は伸びません。
意外にも海外生活は、英語をほとんど使わないで送ることができます。英語ができなくても、日本食レストランやお土産屋などの日本語だけで成立するアルバイトもあります。周囲には日本人ワーホリもいますので、特段寂しくもありません。
数カ月語学学校で勉強し、その後は現地の日本食レストランで働き、日本人とばかり関わって帰国した人では、いくらワーホリで1年間過ごしても、さほど英語力は伸びずに帰国することになります。
重要なことは、海外生活していた期間ではなく、 ”海外で勉強していた期間” であることを忘れてはいけません。
時間と費用を節約して英語力を最大限伸ばしたいなら、授業時間が長くマンツーマン授業が特徴の「フィリピン留学」を検討した方が良いでしょう。
学習効率が最も高いフィリピンの語学学校で半年間ひたすら学習した人の方が、より成果を上げられる可能性が高いことは、皆さんも想像がつくと思います。
同じ留学期間であっても、学習時間と学習効率によって、英語力の伸び具合が変わってきます。
自分自身が目指す成果をはっきりとイメージし、そこに到達するのに必要な留学の種類を考えた上で、期間を定める必要があります。
社会人の方で留学できる期間が予め制限されている場合は、その期間内で最も成果を上げることができる留学タイプを選ぶことが重要になるでしょう。
自分の目標設定に適したプログラムであれば、短期よりも長期の方がより大きな成果を出せることに変わりありません!
可能であれば長期留学できることが理想
海外留学は現地で何をするかが大事ですが、やはりお勧めするのは長期留学です。
殆どの留学希望者は、帰国後に何かしら成果を求めているのではないでしょうか?
世間が留学帰りの人に期待する英語力とコミュニケーション能力を上げるには、どうしても物理的な時間が必要です。
短期留学を複数回繰り返す方法もありますが、帰国する度にブランクができてしまいます。また、毎回環境が変わる度に慣れるための時間が必要になるため、効率が悪くなることは否めません。
また、短期留学を繰り返すことは、渡航費や語学学校の入学金等、授業料の他に余計に掛かる費用も多くなります。
その一方で長期留学となると、これからの人生設計に大きく影響を与えるために、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
帰国後の就職のことを考慮して長期留学する場合、大学生であれば、卒業後ではなく在学中に「休学して留学」されることをオススメします。
休学という形を取ることで、帰国後に新卒扱いで就活することができ、留学による就活失敗リスクがぐんと下がります。さらに、就活時点でTOEIC800点持っていれば、多くの企業から高い評価を受けることができます。
大学時点でTOEIC800点以上を持っている人は極めて少ないため、単純に目立ちます。また、評価はTOEICの点数だけに及びません。TOEIC800点はそれなりに高いハードルであることは、企業の人事の方も良く分かっています。
それだけのことを達成した人であれば、多少の困難でも乗り越えられる根性を持ち合わせている人材だと見てくれるでしょう。
そういう意味で、長期留学するにあたって一番リスクが少ない時期は、「休学留学」であることは間違いなさそうです。
一方、社会人の場合の長期留学は、28歳までの出発を目安に計画することをお勧めします。
転職市場では30歳という年齢が一つの区切りとされており、それ以上の年齢に制限を設ける企業もあります。
留学後に30歳前であることから逆算し、28歳くらいまでに渡航することで、再就職の際の年齢制限リスクを軽減できます。
長期留学するからには明確な成果も得たい!
長期留学は時間も費用もかかり、リスクが高いと思われがちです。しかし、期待できる成果は、短期留学と比較して一段と高くなります。
時間は誰でも平等に与えられたものです。ですが、時間の使い方次第で、成果は大きく変わります。短期よりも長期の方が良いというだけでなく、その中でどのようなプランを組み立てるのかが最重要ポイントです。
せっかく時間とお金を使って留学するのであれば、一生の財産となるような英語力と経験を得たいですよね。
自身の期待する成果や帰国後のことをよく考慮した長期留学であれば、皆さんが心配されるような費用やリスクも最低限に抑えることができます。
短期留学の方は、将来が左右するリスクは頭にありません。そのため、留学生の取り組む姿勢を見ていても、リスクを背負って長期留学している方の方が必至に1日1日過ごしてる雰囲気と充実感が伝わってきます。
大きな成功を手にするためには、ある程度のリスクがあって当然です。ぜひ自分自身の留学成果に焦点を当て、留学期間を良く考えてみて下さい!