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外出制限が出てから1カ月が経過したフランス、著者が住むアルザスの状況をレポート

公開:2020/04/16 著者:小松 久里子 309 Views

フランスでは新型コロナウイルス対策のため、3月17日(火)に外出制限が発令されて以降、2回の延長が行われています。現在のところ、外出制限は5月11日(水)までとなっています。

現在フランス外出制限発令後から1カ月となりました。今回は私が住むアルザスの外出状況をお送りしたいと思います。

 

日本の緊急事態制限は4月7日(火)に7都府県限定で発令されていましたが、16日(木)に安倍首相は40道府県を追加すると発表しました。

 

要するに、日本も対象地域が国全体に拡大したことになります。今の日本はフランスの1カ月前とも言えるかも知れません。

今後日本がどのような状況になっていくか、フランスの外出制限発令後からの状況を参考にして、今後をイメージしてもらえたらと思います。

もちろん、国によって外出制限の法的効力は異なりますが、少しでも役に立てばと思います。

 

外出制限開始後の状況

フランスでは制限付きでの外出ができますが、その際には移動の理由を記載した特例外出証明(ATTESTATION DE DEPLACEMENT DEROGATOIRE)を持参しなければなりません。この書類には署名と日付の記入が必要です。こちらの書類を外出毎にプリントアウトするか、手書きで書類を直接書かなければなりませんでした。

その後、4月6日(月)より電子版特例外出証明書による運用が開始になりました。こちらも毎回作成しなければなりません。

小さいお店などは店内に1名しか入店できず、その他のお客は外で1m間隔空けて外で待たなければなりません。スーパーは店内の人数制限があり、1人出ると1人入る形になります。

 

スーパーの商品事情

外出制限が出た時は買いだめが起こり、スーパーから無くなる商品がありました。

フランスでは、パスタやお米、缶詰、瓶詰めのパスタソースなどの長期間持つ食材や、トイレットペーパーが無くなりました。

 

→ トイレットペーパーも品薄な時もありますが、現在は手に入る状況です。

 

商品の生産が止まるわけではないので、一時的な現象でそれ以降はこれらの商品は問題なく買う事ができています。

 

マスクや消毒液、消毒ジェルなどは外出制限が出されるずっと前から買えなくなっていて、どこを探しても品切れでした。

しかし、外出制限が出て人があまり外出しなくなったことに加え、消毒液を薬局でも手作りしてくれるようになり、現在では消毒液は買えるようになりました。

一方、液体石鹸、特に消毒用石鹸は、ずっと品切れ状態の商品の一つです。

 

→ 液体石鹸は品薄状態が続いています。

 

食品に関しては、卵と小麦粉が品薄です。これは皆家にいることが多いため、家でケーキやキッシュ、さらにはパンを焼いたりする機会が増えてしまい、小麦粉の消費が通常よりも150%以上増加したとニュースで報道がありました。

卵に関しては、農家によると通常通りあるそうなのですが、供給が間に合っていないようです。いずれにせよ、家にいると卵を使う機会が増えるようです。

もう一つ、精肉と生魚も品薄気味です。外出制限後はオーダーして購入する精肉生魚コーナーが閉まっており、精肉と生魚の種類は少なくなっています。

 

→ 外出制限で消費量が増えているのが卵とのこと。見ての通り品薄です。

 

→ ケーキやパン作りをする家庭が増えて小麦粉の消費量が増えているそうです。

 

その他の商品供給状況

フランスはパンの国でもありますが、営業できるはずのパン屋も家の近所では半分以上が閉店中です。

地域によっては、「1本のバゲットを買うための外出は禁止」なんていうところもあります。そのため、新鮮なバゲットを気軽に買うことはできない状態です。

 

買い物での外出は許可されているものの、「一回の買い物で数日分の買ってください。」という指示があるためです。

 

また、アルザス地方では全ての市場が閉まっているため、農家直売の新鮮な乳製品や、野菜などが買えなくなってしまったことはちょっと辛いです。

供給手段が途絶えてしまうことで、農家の方の経営にも影響してくると思います。

 

買い置きした食品

私も外出制限が出る前に多少の買い溜めというか、多少の買い置きはしてしまいました。大量買いと言うほどではなく、パスタを3種ほど1パックずつ、お米も私は日本米に似ているデザート用のお米を3袋購入しました。

それと、ソースを作るためのトマト缶を幾つか購入しました。また、アジア系スーパーで、幾つかインスタントラーメンを購入しました。

元々トイレットペーパーも1パックは買い溜めをしているタイプだったのですが、この時は2パック念のため買ってしまいました。

 

買いだめしてどうだったか?

私は上記の通り少し買いだめしましたが、外出制限が出てからも買い物に行けないわけではないし、世の中の生産が止まるワケではありません。実際、スーパーに行くと売り切れのものはありますが、一応必要なものは大体揃うので買い溜めする必要はないと思います。

実際、買いだめしたパスタやお米も、今までに比べて大量に食事をするわけではないので、さほど減らないです。ただ、家で朝昼晩食べるようになったこともあり、いつもよりは消費が早くなったかも知れません。

トイレットペーパーも今までと消費量がさほど変わったわけではないし、スーパーも品薄状態ではあるものの売っていますので、大量に買っておく必要はありませんでした。

 

ちなみに、インスタントラーメンは簡単に食べられるため、同居人の遅いお昼などには有効活用されていました。家族の人数や家族構成などにもよると思いますし、テレワークで家にいることが増えることによって、食材の消費は増えたのは事実です。

お子さんのいる家庭では、小麦粉を使うケーキなどを作ることが多くなったりすることもあるという事です。

皆が買いだめしてしまい、その商品が無くなる。そして、「また無くなるかも…。」と思って、誰かが買いだめしてしまう…。

 

自分のことだけを考えず、皆のことを考えてなるべく買いだめは止めましょう。外出自粛でも品物が無くなっているわけではないので、必要なものだけを購入するべきですね。

 

交通機関の運行状況

電車など公共交通機関は本数が減ったものの、一応動いてはいます。けれど、やはり外出制限が出ているため、必要以上には公共交通機関に乗ることがなくなりました。私は外出制限が出て以来、一度も使っていません。

アルザス地方は新型コロナウイルス感染者が多い地域だったので、病院のベッドが足りなくなり、患者さんが他都市に移動するケースも出てきました。

このため、フランスではTGV(フランスの新幹線)を多少改良し、患者さんをストラスブールから他都市に移動したというニュースが日本のNHKでも流れていました。

 

→ 公共交通機関の本数は減少していますが動いています。

 

フランスの経済状況

フランスは外出制限が出た時から、ある程度の政府の支援がありました。ほぼ全ての事業者は厳しい状況にあることは言うまでもありません。

その中でも、特に農家では経営的な問題を抱えています。

 

① 他国から出稼ぎで来てくれる季節労働者が確保できず、収穫に支障がでている。
② レストランやバーが閉店しているため、流通がストップして生産物(チーズなど)を廃棄せざるを得ない。
③ アルザスのワイナリーは3月・4月に開催されるイベントや展示会のキャンセル、国内及び他国からの顧客減のため3月の売り上げが80%減少。

 

特にアルザス地方は小規模な個人経営のワイナリーが多く、こう言った経済状況では何カ月持つか分からないというワイナリーも多いようです。

そんな中、アルザスのワイナリーの中では、「〇本以上のワインのお買い上げで無料配送します。」や「今週〇〇と〇〇地域までデリバリーするので注文承ります。」というお知らせをSNSに掲載しているワイナリーさんもあります。

ワインのデリバリーと一緒に、村で生産された季節の野菜も一緒に購入できるようワイナリーも見かけるようになりました。私も少しでも生産者の方に協力できればと、スーパーでの購入ではなくて、ワイナリーからワインを注文しました。

 

→ デリバリーしてくれるワイナリーさんからアスパラガスとワインのデリバリーを注文。接触を避けるため、アパートの前に置いてもらいました。

 

フランス国内やアルザスでの外出状況

アルザス地方とパリのあるイルドフランス地域圏は、新型コロナウイスル感染者数も多い地域で、外出制限もどんどん厳しくなっている地域です。しかし、実は意外と外出者も多く、多くの人が罰金を課されています。

私が出掛けた時も意外と街に人が多く、なぜか公園の周りやトラム駅でたむろする人達もいました。ただ、開いている商店が少ないこと、特にレストランやカフェなどのテイクアウトのお店意外は閉店しており、行くところがない状況でもあります。

劇場や映画館などの娯楽施設も全て閉館中なので、そういう意味ではあまり人はいないという印象です。しかし、運動を名目にスポーツしている団体の姿がテレビで放送されていました。

 

罰則のある外出制限とは言え制限付きで外出できるため、「健康目的の移動」や「必要不可欠な買い物をするための移動」を自己解釈している方も多いです。

 

例えば、炭酸飲料だけを買いに外出する人。また、警察に「今日は何を買い来たのか?」と聞かれて、「自宅謹慎で暇だからゲームを買いに来たの。」なんて言う奥様がニュースで放送されていました。

日本以上に厳しい外出制限であるフランスでも、不要な外出する人は多いという事です。また、外出制限の発令から3週間目頃には天気も春めいてきたため、外出する人が増加しているといったニュースも流れました。

 

外出を控えるよう訴えるテレビ番組が多くなっています。経済活動がほぼストップしていることもあり、ニュース内でもコロナウイルスの話題が多くなっています。

 

新型コロナウイルス感染に関するニュースでは、病院の様子や亡くなった方の様子などが頻繁に流れています。

また、どのテレビ番組でも画面の上に『家にいましょう。(RESTEZ CHEZ VOUS)』と書かれており、ニュースや生放送系の番組、そして天気予報でも番組の最後には「家にいましょう。」と言っています。

また、この状況で幾つか新型コロナウイスル関連の特別番組も放送され、新型コロナウイスル感染状況の深刻さを伝える番組もあれば、医療関係者をサポートするような番組も放送されています。

 

「外出制限」の今後について

最初は2週間の緩い外出制限でしたので、私たちもあまり深くは考えていませんでした。それから2度の延長の末、もうすぐ外出制限発令から1カ月になろうとしています。

まだ感染者数の増加は止まらず、4月13日(月)の時点で感染者は13万人を超え、死者は1万4,000人を超えています。この先もまだまだ外出制限期間の延長も予想されます。

日本でも緊急事態宣言が発令され、7都府県から全国に拡大された今、よりフランスに近い状況になっていくことが予想されます。

 

今は頑張って、「家で過ごすこと」を意識してもらえればと思います。

 

フランスが1ヶ月以上も外出制限が続いている状況を見る限り、日本でもこれから1カ月またはそれ以上の期間の外出自粛が続くと思われます。状況によっては、諸外国同様に厳しい制限が課せられる可能性も十分にあります。

そのため、一人でも多くの人が現在の深刻な状況を理解し、外出は必要最低限に留めて、なるべく家で過ごすようにしましょう。

それが今、新型コロナウイスル感染の被害が大きいフランス・アルザスにいる私がお伝えできることです。

 

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